未だに人気のリート投信。投信の買付ランキングを見ても、必ず上位に食い込みます。リート投信と言っても種類は様々。設定本数も相当あり、銘柄選びに迷われる方も多数いらっしゃるのではないでしょうか。
今号では、リート投信の選び方のコツをシェアできればと思います。
目次
メインの投資先は米国リート。中古住宅販売に注目。
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世界のリート市場はアメリカが中心です。日本のリート市場の時価総額が約11兆円であることに対し、米国のリート市場は約85兆円。世界のリート市場規模が約133兆円ですので、対全世界で見ても、市場シェアの66%程度は米国が握っていると言えます。(数値は全て今年3月時点のもの)
つまり日本のJ-REITでも買わない限り、必ずリート投信には米国市場のリートが組み込まれる訳です。米国のリート市場を読めずして、リート投信で勝つことは不可能です。
どのような指標を参考にすれば良いか
結論から言うと、中古住宅販売に注目して下さい。とにかく投信は
基本的には、どのリートにも住宅系のリートが15%程度組み込まれています。
分散投資が基本のリート投信において、この数字は少ないようで実はかなりのウェイトを占めます。
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なぜ中古住宅販売が重要なのか
それは、米国の住宅市場は中古住宅メインの市場だからです。
つまり中古住宅販売の在庫から無くなって行くのです。もちろん、中古住宅の在庫が無くなれば、ディベロッパーが新築住宅を建築します。即ち、新築住宅販売は中古住宅販売の指数に遅れて改善する傾向にあるのです。
よって、新築住宅販売が改善してから「買い」を入れても若干遅い。中古住宅の在庫が減少してきたタイミングで「買い」に行くのがベストなのです。
商業用不動産の入居率、オフィス空室率にも注目
商業用不動産の入居率にも目を配る必要があります。ランンキング上位に食い込む、
・ フィデリティ・USリート・ファンド
は、商業リートがメインの投信です。
基本的に、どのファンドにも少なからず商業リートが組み込まれています。商業リートの動向には要注目です。また、オフィスリートも10%前後組み入れられているケースがほとんどです。
オフィス空室率の指標はこまめに確認する必要があります。現状では、両者共に改善傾向が続いています。
特に、商業用不動産における入居率は2016年第2四半期に過去最高水準を記録。オフィス空室率に関しても、第2四半期は7年ぶりの低水準。米国リート市場のファンダメンタルズは良好と言えます。
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雇用統計の改善が意味するもの
雇用統計の改善は言うまでもなく、雇用が増えていることを意味します。
しかし、FordやGMが販売員を急激に増やすことはありません。おそらく、マクドナルドやスターバックスなどの飲食店も同様でしょう。
では、最も雇用を生み出すセクターはどこなのでしょうか。やはり、建設セクターです。いくら技術革新があったとしても、住宅市況が活況になれば、相当数の雇用を生み出します。雇用統計の改善は、裏では、住宅市況が活況であることを示唆するのです。
利上げで米国リート下落は本当か
結局、利上げをしたところで米国経済のファンダメンタルズさえしっかりしていれば、リート価格も上昇します。それは、過去の金利上昇時に、リート価格も上昇していることを見れば明らかです。
今後も改善傾向が期待される米国リート市場
為替が円高なことを考えれば、中長期での投資に妙味がありそうです。為替ヘッジなし(為替変動の影響を受けるコース)で運用するのもおもしろいかもしれませんね。(執筆者:徳田 陽太)