現在日本には約6,000本の投資信託があるとのことですが、その中から本当に自分に合った投資信託を選ぶことは難しいことです。本コラムでは投資のプロが運用しているはずの投資信託で損する人が多い理由について解説します。

目次
運用のプロであるファンドマネージャー
投資信託は「運用のプロであるファンドマネージャー」が投資家の資金を上手に運用してくれるものだと思っていませんか?
実際は投資信託を運用するファンドマネージャーは例え相場の下落を想定しても、投資家の資産を守ることが出来ないケースが多いのです。
プロに任せても損をする理由を知っておく
例えば、株価の下落を予想するなら、保有株式を全部売却しておいて、株価が十分安くなってから買い直せばいいのですが、実はファンドマネージャーはそのような行動をとれない仕組みになっている事が多いのです。
「投資のプロが運用しているのに何でこんなに損をするの?」
などと感じている方は多いのではないでしょうか。その理由が分からないまま投資を続けていては、いつまで経っても損をしてしまうことでしょう。
本来、投資信託とは運用のプロであるファンドマネージャーを信じて、投資家が資産を託すわけですが、その期待に応えてくれるファンドマネージャーは残念ながら多くないのが現状です。
あなたの投信選び、本当に大丈夫ですか?
投資信託で損をする投資家が多い理由は、いくつかありますが、その1つに「人気のテーマ型投資信託」を選ぶことが挙げられます。
テーマ型投資信託とは
テーマ型投信信託とは、世間で話題になっているテーマに着目して、そのテーマに関連した銘柄に投資をするファンドの事です。
中国関連やブラジル関連のように地域を限定したり、ロボット関連のように業種を限定したり、リートファンドやハイイールドファンドのように投資できる資産を限定して投資を行うことです。
このようなテーマ型投資信託は、日本では純資産残高が多く、資金流入ランキング上位であり人気なのですが、同時に損をする投資家がとても多いのです。
なぜ人気(テーマ型)の投資信託は高値掴みになりやすいのか
結論から申し上げると以下のような投資循環があるからです。
↓
投資家の資金が流入し始める
↓
話題が広まり、多くの人が認知する
↓
更に多額の資金が流入し割高になる
という流れです。
という認識が必要です。既に投資している投資家が多いということは、価格は既に上昇しているということになります。ですから話題を後追いして投資をしては「高値掴み」になりやすいものです。
株式相場には「噂で買って事実で売る」という格言があります。また新聞でも頻繁に「織り込み済み」、「材料出つくし」という言葉を目にします。それは話題になる前に投資をしておき、後から投資を始めた投資家が多くなり相場が盛り、上がったタイミングで先に売却してしまうということです。

2007年には中国株式関連のファンドが大流行
当時中国は好調な経済発展を遂げており、更に北京五輪(2008年)、上海万博(2010年)などの国家的イベントを控えていました。中国の代表的株価指数である上海総合指数は
・ 2006年初頭1,000ポイント程度
・ 2007年初頭に2,000ポイントを突破
・ 2007年夏には5,000ポイントを超える
という、急激な上昇をしました。
今にして思えば「中国株はバブルだった」ということになりますが、バブル崩壊の数か月前には中国株関連のファンドが数多く新規設定され、販売停止になるほどの人気投信も出たほどです。
運用開始から数か月で基準価額が上昇したものもありましたが、その後は世界金融恐慌に突入し、リーマンショック時には2007年の高値からおよそ1/3まで価格が下落したものもありました。

まとめ
このような時期に設定された中国株の投資信託については、中国が話題性十分な時期に設定させたテーマ型投資信託であり、結果的に割高な水準での投資になってしまったことになります。
このように投資信託には損をしてしまう様々なポイントがあり、今回はその一部を紹介させて頂きました。様々なポイントを押えることで正しい投信選びを見つけて頂ければ幸いです。(執筆者:福田 猛)