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生命保険会社の三大疾病の定義
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平成25年の厚生労働省による人口動態統計によれば、死因のうち三大疾病(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患)によるものが全体の53.6%であり、日本人の三大疾病に対する関心も高いのが現状だ。
保険会社が規定している三大疾病とは、一般的にはがん、脳卒中、急性心筋梗塞のことである。
ところが、従来型の三大疾病保障保険(特約も含む)の支払(保険料払込免除)要件は、脳卒中は「出血性脳血管疾患(脳出血、くも膜下出血)と虚血性脳血管疾患(脳梗塞など)」のことを指し、それ以外の脳血管疾患は保障対象外。
しかも言語障害、運動失調、麻痺などの後遺症が60日以上継続したという医師の診断書が必要である。急性心筋梗塞以外の心疾患(例えば狭心症や不整脈、心不全)では支払対象外。
脳卒中と同様60日の労働制限が継続したという医師の診断書が必要である。
がんの場合
なお、がんの場合は「悪性新生物」と診断された段階で支払対象となり、保険料払込免除特約を付加した保険では、保険料の払い込みも免除される。
単体のがん保険では、悪性新生物以外のがん、例えば上皮内がんや皮膚がんでも給付対象となるがん保険が一般的(ただしこれらのがんで保険料払込免除になる保険商品はほとんどない)になっている。
しかし、三大疾病の脳と心臓の病気に関しての一時金の支払(保険料払込免除)要件が緩和されてきたのは、ごく最近のことである。
三大疾病の支払要件が緩和されてきた
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最近の医療保険に特約で付加するタイプの三大疾病保障については、「がん、脳血管疾患、心疾患」を支払対象にしている保険会社が増えてきている。
また60日以上継続要件も緩和されつつあり、脳血管疾患、心疾患による「手術」が支払要件(保険料払込免除要件)の保険会社、さらに、脳血管疾患、心疾患で「1日以上の入院」が支払要件(保険料払込免除要件)である保険会社も出てきている。
三大疾病になった身内がいたり、遺伝的に心配をしている人もたくさん存在するのだが、そういう不安ニーズに対して、従来の三大疾病保障保険(特約を含む)では保険金がおりないースが非常に多かったのだ。
またインターネットで検索すれば、従来の三大疾病保障の支払要件(保険料払込免除要件)が厳しい点を指摘するファイナンシャルプランナーも多い。
三大疾病の支払(保険料払込免除)要件の厳しさを指摘されることが多くなったこと、また競合他社との差別化を図る意図を持って、三大疾病罹患時の一時金の支払(保険料払込免除)要件を緩和してきた保険会社が出てきたのだ。
ただし、ご注意いただきたいのは、三大疾病罹患時の支払要件が緩和された保険は、当然のことなのだが、その分の保険料が上乗せされている。
三大疾病保障に対する保険を検討される場合は、保障内容と保険料のバランスをよく理解した上で選択していただきたい。(執筆者:釜口 博)