目次
1. インデックス型投信の手数料は競争激化により低下傾向
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資産運用において、保有期間中にかかる手数料の差は、最終的な運用成績に大きく影響する。
手数料が低い投資信託(投信)の代名詞といえる「インデックス型投信」(株価指数などのベンチマークと同等の運用を目指す投信)では、ここ1年ほどで、保有期間中にかかる手数料(信託報酬)が低下傾向だ。
三井住友アセットマネジメントが昨秋、確定拠出年金(DC)専用であったインデックスファンドを一般向けに開放したのがきっかけとなり、
・ DIAMアセットマネジメント
が格安インデックス型投信シリーズを立ち上げた。
更に極めつけは、9月に新規設定された大和証券投資信託委託の「iFreeシリーズ」はTOPIX連動型のインデックファンドの信託報酬を0.2052%まで引き下げたのである。
2. アクティブ型投信も手数料引き下げ傾向
投信の手数料引き下げの流れは、今まで高止まりしていたアクティブ型投信にも及びはじめた。
・大和住銀投信投資顧問の「ひとくふう」シリーズ
・DIAMアセットマネジメントの「たわらノーロードplus」シリーズ
などは、今までのアクティブ投信では考えられないことだが、信託報酬が1%を切ってきたのだ。
今までのアクティブ投信の信託報酬は1.5%前後と高めに設定され、外国の株式で運用するタイプだと、2%近いものも珍しくはない状況であった。
モーニングスターの調べによると、「国内株式・大型ブレンド」に分類されるアクティブ型投信のうち、運用成績がインデックス型に勝ったのは、全体の3割にとどまる。ところが、低コストのアクティブ投信に限ると、勝率が高くなっている。
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低コストアクティブ投信がインデックス型投信に勝った比率
保有期間
5年: 44%
10年: 62%
10年保有では6割以上がインデックス投信に勝っているのだ。
これまでの定説は、アクティブ型はインデックス型には勝てないとされてきたが、それはアクティブ投信のファンドマネージャーの運用手腕が問題ではなく、手数料が割高だったからである。
長期の運用で運用成績の上積みをねらうのであれば、低コストアクティブ型投信も選択肢の1つだ。(執筆者:釜口 博)