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鈴木家三人姉妹の話
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長女が婿養子をとり、二世帯住宅生活が始まりました。
鈴木家には三人姉妹がいました。長女の美子さんはお見合いで、早々に鈴木家の後継ぎとして婿をもらい結婚していました。
「鈴木姓を名乗ること」が親からの条件でしたので、婚姻の際、妻の姓にするだけでも可能でしたが夫は鈴木家の養子となり、結婚と同時に養子縁組の届出をされていました。住宅は二世帯住宅を鈴木家が建て新婚生活が始まりました。
20年後の鈴木家
長女の親と婿さんは、初めは仲良くやっていたものの、親と別居しなければ「離婚」との話になり、長女は親と別居し、離婚は回避しました。
次女は結婚し外へ出ました。三女は養子をもらわないものの結婚して親と同居していました。
よくある家の話なのです。
娘の親と養子さんとの仲が悪いのも、よくある話です。
長女さんの親に対する思いは 複雑なものがあると思います。当初、長女の立場もあり実の親と夫である婿さんとの関係に気を使い、努力をしてきました。しかしお互いが気を使ってきただけに、相手に対する「思いは」引きずられたまま残っています。
次女は、姉を見て早々に外に出ています。なんとなく後ろめたさがあるかもしれません。
三女は、そんな姉たちと親の確執は知らずに親と同居しています。結婚の際、姓は変えなくてもよかったものの、同居の親に三女夫婦も気を使って毎日過ごしています。
その鈴木家に相続発生!!
遺言書はありませんでした。
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長女の主張
「初めは親と同居し、養子にもなり頑張ってきた」
三女の主張
「今、親と同居し仲良くやっているのは私」
次女は、黙っています。
遺産分割が二転三転とし、なかなかまとまりませんでした。
養子縁組をしている家の場合
最近、相続とは「親への気持ちの清算」ではないかと思うようになりました。
清算されない思いが多ければ多いほど相続の時にもめます。相続人間の清算も難しいです。自分の苦労と他の姉妹の苦労は比較しにくいからです。
だからこそ、鈴木家の場合は親の責任で遺言作成しておくことが大切でした。
養子問題は将来の相続に関係することが多いです。また婿養子さんと離婚されているのに養子縁組を離縁されていなかった方もあります。それなりの事情があってのことだと思いますが、こんな場合は遺言書の作成は必要です。(執筆者:橋本 玄也)