メリット:金利が更に0.6%も優遇される
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住宅金融支援機構が10月から始めた「フラット35リノベ」は、中古住宅をリフォームして購入する方にとっては朗報だ。
「フラット35リノベ」とは、性能向上リフォームにより住宅性能を向上させた中古住宅を取得する場合に「フラット35」の適用金利を最長10年間、0.6%引き下げる制度
である。
性能向上リフォームとは、省エネルギー、耐震性などで一定基準を満たすような工事のこと。
日銀のマイナス金利政策の影響で、固定金利の住宅ローン金利は過去最低水準だが、「フラット35リノベ」は更に0.6%も優遇されるわけだ。
住宅金融支援機構が出している試算では、期間35年、元利均等返済(毎月同じ返済額で返済する方法)で、3,000万円の融資を受けた場合、通常のフラット35より、最大で約166万円返済額が少なくなる。
この制度には、2種類がある。
(1)個人が中古住宅を購入し、性能向上リフォームを行う。
(2)性能向上リフォームが行われた中古住宅を購入する
(2)性能向上リフォームが行われた中古住宅を購入する
デメリット:優遇金利の適用を受けるための要件は厳しい
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優遇金利を受けるためには、適合証明検査機関によるかなり厳しい現地調査が必要である。
よって「フラット35リノベ」の要件に適合させるためには、高額なリフォーム工事代金がかかる可能性もある。
いくら金利が低いからといっても、工事代金が高額になれば元も子もないのである。
この制度は、コストをかけてでも、耐震性や省エネルギー性を重視したい人には良い制度かも知れないが、全体のコストを下げて中古住宅を購入しようとする人には不向きだ。
中古住宅・リフォーム市場の活性化及び住宅ストックの質の向上を図ることを目的とした国の思惑どおりに運ぶのか、今後の動向に注目していきたい。(執筆者:釜口 博)