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学費だけではない中学受験費用の驚きの中身
節約をするとき、光熱費や娯楽費は比較的手がつけやすい項目です。
しかし、子供の将来がかかっている「教育費」は手が出しにくく、節約の聖域ともいえるのではないでしょうか。
一昔前は、中学受験をする人は学年で数名でした。しかし最近は、都心の私立中学受験率は約24%にまで上昇しており、中学受験は珍しいことではなくなっているのです。
私立中学の中でも人気の高い学校は、高校受験が必要ない中高一貫校です。中高一貫校は、数も年々増加しています。
ただし、人気のある学校は倍率も高く、中学受験をするならば小学校4年生から進学塾に通う子供がほとんどです。
実は、この塾の費用が想像以上に高額なのです。
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本当に高いのは中学校の授業料ではなく塾の月謝です
一般的に、中学受験ときくと「授業料が高い」というイメージがあります。しかし実際は、授業料だけならば年間70万円程度が平均的な額です。
学費以外にも学校外活動費が年間30万円程度かかりますが、これは公立中学校に通ったとしても必要なお金です。
学校外活動費とは、補習塾や習い事・制服代や修学旅行積立金などです。学校外活動費と授業料を合わせて年間100万円、3年間で300万円程度が私立中学校の年間出費額といえるでしょう。
一方、進学塾の学費は4年生から3年間通うとすると総額250万円ともいわれています。
大手進学塾の月謝相場は、小学校4年と5年は、月3万円程度ですが、6年生になったとたんに月5万円以上に跳ね上がることが多く、月謝以外にも夏期講習などの追加費用が年間20万円程度発生します。
実は、中学受験は学校の出費以上に進学塾にかかるお金を心配する必要があったのです。
交通費までのすべてを含んだ「年間支出額」がいくらになるのかを把握しておくこと
私立中学校の中には、授業だけでは理解できない子供に対して補習授業をこまめに行い、学校以外に塾に通う必要がない学校もあります。
その場合は、中学以降の塾費用は必要なくなるため、大きな節約になるかもしれません。
しかし、私立中学進学者の中には「中高一貫と思い込んで入学したけれど、実は高校進学には別途受験が必要だった」という人もいるのです。
そうなると、中学進学後にも塾費用が継続して発生し想定外のお金が必要になることもあります。
また学校によっては、寄付金や施設費もあります。表面的な授業料だけではなく、交通費までのすべてを含んだ「年間支出額」がいくらになるのかを把握しておくことが大切です。
教育費を大きく節約するならば「私立よりも公立」、中学受験はするけれど節約したいのならば「塾選び」と「高校受験の有無」がポイントになります。
教育費を左右するのは塾費用! 上手な塾の選び方
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中学受験に進学塾は不可欠かもしれません。例え受験はしなくても、補習塾に通う可能性もあります。
つまり、教育費を考えるとき「塾費用」は切っても切り離せない項目なのです。
塾費用を抑えるならば、自宅で親が勉強をみてあげる方法もありますが、なかなかうまくいくものではありません。
やはり、自宅外の場所で一定の緊張感を持ちながら習う方が効率はいいでしょう。
親の中には、「名の知れた塾に入れておけば成績はよくなる」または「授業力が高い塾ならば成績はあがる」と思う人もいるかもしれません。
しかし、進学塾は一定のスピード感をもって授業が進められていきます。限られた時間の中で、受験に耐えられる学力をつけさせる必要がるため、スピードが速いことはやむをえません。
授業についていくことのできる子供たちは、着実に実力を付けていきます。
一方でスピードについていかれない子供達は、まるで観客のように座っている状態になってしまうのです。
勉強内容は理解できていないけれど「塾に週3日通っている」という事実だけのためにお金が支払われ続けることになります。これでは無駄な塾費用になってしまいます。
一番大切なのは子供が塾を上手に使いこなせるようになること
塾費用を最小限におさえつつ、有効に活用したいのならば塾の知名度や授業料で選ぶのではなく、子供が塾を上手に使いこなせるように調整してあげることが一番の節約方法です。
クラス授業についていかれないならば、マンツーマンに変えたほうがいいでしょう。
ただし、マンツーマンの授業料は、クラス授業よりも格段に高くなります。予算に応じて必要科目だけを受講させたり、日数を少なくさせたりすることで費用は調整できるのです。
「無駄金」を使わないように工夫することで、子供も有効な時間を過ごせるようになり、塾費用の節約にもなります。
お金がないけど受験の道へ「公立中高一貫校」
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中学受験に興味はあるけれど、塾費用や授業料が負担になり一歩が踏み出せない家庭もたくさんあります。
そんなときには、公立の中高一貫校を検討してみてもいいのではないでしょうか。
公立中高一貫校とは、1999年から始まったもので公立にもかかわらず中高6年間の一貫教育を受けることができます。
大学進学も着実に実績を出し、年々人気は高まっています。公立中高一貫校は、私立受験とは一味違った「受検」を行います。
独特の試験内容であるため、合格者の多くは小学校5年生から進学塾で中高一貫校受験対策を始めています。
そのため、塾費用は私立受験と同じように発生しますが、入学後の授業料負担はずっと軽くなります。(執筆者:式部 順子)