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投資信託の月次レポートを自分の投資に役立てよう
皆さんは投資信託を購入されたことはありますか?
購入されていない方も、投資信託よりも株が良いという方も、ぜひ一度レポートを読んでみてください。株式投資に役立つヒントが見つかります。
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チェックポイント1 : 市況など市場の変化
月次レポートで報告される市況はあくまで過去のものですが、自分でも気づかなかった市場の変化などを知ることができます。
例えば、投資信託の格付けを行っているモーニングスターが主催したFund of the year2016の国内株式大型部門で最優秀ファンド賞を受賞した「スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)」の2017年7月の月次レポートを見てみましょう。
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日本の株式市場でのマイナス要因を挙げた後、
『米国の株式市場がIT関連株の持ち直しなどを要因に史上最高値を更新したことに支えられて、日本株は全体としては安定的に推移しました(レポートより引用)』
と解説されています。
私の場合、外国の市況は指数しか見ていないので、米国株のどんな業種が上がっているかというところまで把握していませんでした。
このようにタイムリーな市況ではなくとも、自分が持っていない情報を得ることができます。
チェックポイント2 : 組み入れ上位銘柄
多くの月次レポートで、組み入れ上位銘柄が掲載されています。上に挙げた投資信託では、上位5社が掲載されています。
レポートの中で一番面白いのがこの項目かもしれません。投資信託が一体どのような銘柄に注目しているのか、参考になります。
2位 : 花王
3位 : テルモ
4位 : ミスミグループ本社
5位 : 日本電産
上位2社は誰もが良く知っている企業ですね。
3位のテルモは心臓血管向けのカテーテル(管)を作っている会社です。
4位のミスミグループ本社は自動車や電子機器・工作機械向けの部品や資材などを製造販売しています。
5位の日本電産は永守氏の率いるモータ―を製造する会社です。
こちらの投資信託は、日本の大型株を厳選して投資してパフォーマンスを挙げています。
最大でも20銘柄までと投資方針の中で、1位にソフトバンクグループが入ってくるということは、今後の成長への高い期待が伺えますね。
もちろんこれらの銘柄に投資しよう、という話ではありません。投資信託に組み入れたタイミングも分かりませんし、今から買うのがチャンスとは限りません。
ですが、今まで自分が注目したことのない企業を知るのに大変役立ちます。
その中でも魅力を感じる企業が見つかれば、株価が下がるタイミングを待つのも良いかと思います。
投資信託のレポートから見つけた気になる会社
せっかくなので、他のレポートも見てみましょう。
格付け投資センターが実施している「R&Iファンド大賞2017」において、国内株式部門の最優秀ファンド賞を受賞した「MHAM新興成長株オープン【J-フロンティア】」のレポートを見てみました。
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上位10銘柄の記載がありますが、ここでは上位5社をご紹介致します。
1位 : Gunosy[6047]
【株価】: 3,110円(9/12終値)
【売買単位】: 100株
テレビCMで名前を聞かれたことのある方も多いかと思います。エンタメなどのニュースやコラム配信をしている会社です。
宣伝効果もあってか、アプリの利用者数が増加、広告収入も伸びて急成長を遂げています。
2位 : イトクロ[6049]
【株価】:4,730円(9/12終値)
【売買単位】:100株
イトクロは塾や学校情報のポータルサイトを運営しており、教育関連のポータルサイトとしては国内首位です。
9月8日には2017年10月期の業績予想を上方修正しています。
3位 : 日本M&Aセンター[2127]
【株価】:5,240円(9/12終値)
【売買単位】:100株
名前からも想像がつくかと思いますが、企業のM&A(合併・買収)を行っており、全国展開しています。
最高益を連続更新するなど、業績も好調です。
4位 : フリークアウトホールディングス[6094]
【株価】: 4,025円(9/12終値)
【売買単位】: 100株
ネット広告の配信サービスを提供している会社です。
特にスマートフォン向けの広告が成長し、2017年9月期の業績は第2四半期時点で前期を上回っています。
5位 : 船井総研ホールディングス[9757]
【株価】: 3,640円(9/12終値)
【売買単位】: 100株
経営コンサルティング会社で、主に中堅企業向けのサービスに強みを持っています。
2017年から2019年にかけては「ジャンプ」の年と、200人規模の採用を行うとしていますが、人件費の増加をこなせるだけの売上を上げています。
驚くことに、この5銘柄はいずれも好業績で、数年単位のチャートも最近のチャートも、右肩上がりの上昇トレンドを描いています。
相場環境が悪い時に株価が下落してもすぐに持ち直しているのです。
このように安定して右肩上がりの流れを作っている銘柄は、スクリーニングなどの検索では見つけられないため、一つ一つチャートを見て探していくしかありません。
投資信託のレポートを見て確認するまで、私もこのような株価推移をしているとは思いもよりませんでした。
まとめ
実際に自分で投資信託を購入していないと、レポートを見る機会はほとんどないかと思います。
しかし運用のプロがどのような銘柄を選んでいるのか参考になりますので、ぜひ活用してみてください。(執筆者:高橋 珠実)