医療保険に加入するとき、健康状態の告知が必要であることはよく知られています。
告知書の内容をもとに、保険会社が独自の基準で契約の引受可否を決定しますが、「引受」と「謝絶」の間の折衷案があることをご存じでしょうか。
今回は、その折衷案となる「条件付き契約」について、どのようなものがあるのか解説します。
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目次
条件付き契約がある理由
なぜ条件付き契約があるかというと、契約者間での公平性を保つためです。
もともと持病があり発病するリスクの高い人と、健康な人を、同じ保険料・同じ条件で保障することは平等とは言えませんよね。
そこで、健康状態に不安のある方に対しては、契約を引き受ける代わりに、以下のような条件を設けることがあります。
特定部位不担保とは
特定部位不担保とは、特定の部位に関する疾病の入院・手術を一定期間保障しない、という意味です。
例えば、子宮筋腫での手術歴を告知書に書いた結果、「子宮の5年間不担保」といった条件がつくことがあります。
この場合、不担保条件の原因となった疾病以外、例えば子宮がんで入院・手術を行ったときも、給付金はおりません。
また、子宮の場合、妊娠もしくは分娩の異常が生じた場合または帝王切開を受けた場合も含まれますので、帝王切開や吸引分娩で出産した場合も給付対象外です。
特定部位不担保の期間は?
設定される期間は1~5年が多く、保険会社独自の基準で決定されます。
その年数を経過した後は、すべての疾病において保障される通常の契約状態になります。
また、同時に複数の不担保部位が提示される場合もあります。
不慮の事故による給付請求はできる
特定部位不担保はあくまで疾病の入院・手術が免責となります。
例えば、右下肢に不担保のついた契約で、被保険者が不慮の事故により右足を骨折して入院した場合は、給付金を請求できます。
がんが不担保部位以外に転移した場合は?
乳房に不担保のついた契約で、被保険者が不担保期間中に乳がんにかかった場合、給付金は対象外です。
しかし、そのがんが肺に転移した場合は、「保障の対象となる」というのが一般的な約款の解釈です。
ただし、このあたりは保険会社によって基準が異なるかもしれないので、あらかじめ尋ねておくと安心かもしれません。
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特定疾病不担保とは
特定疾病不担保は、ある特定の疾病に関して、一定期間保障しないことを約束する内容です。
子宮筋腫の治療歴を告知書に書いた結果、「子宮筋腫に関する入院・疾病のみ免責」となり、子宮がんは対象となるのが特定部位不担保との大きな違いです。
部位不担保よりも対象外となる範囲は狭いと言えるのですが、現在はほとんどの会社が特定部位不担保を採用しています。
なお、特定疾病不担保は2年間と設定される場合が多いです。
保険料の割増
健康な人の契約と差別化するために、保険料が割増されることもあります。
保険料払込期間を通して、割増された保険料を支払い続けることになります。
保険金・給付金の削減支払い
一定期間、保険金・給付金を削減する条件もあります。
例えば、死亡保障100万円の契約で、被保険者が1年以内に死亡した場合は、50%削減の50万円を支払う、といったものです。
削減される期間や割合はさまざまで、年数を重ねるごとに削減金額が減り、受け取れる保険金が増えていくような契約もあります。
条件付き契約の注意点
契約者は、提示された条件に同意できなければ、契約をしなくてよいのです。
どうしても加入したければ、条件に同意するほかありません。
再審査を求めたければ、追加で書類(診断書など)を提出する方法もありますが、結果を変えることは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。
告知義務違反はダメ、絶対!
条件付きとなるのを避けたいために告知書に虚偽の内容を書いたとしても、給付請求時に告知義務違反を問われることになります。
結果、支払った保険料が返ってこないなどのより大きな不利益を被りますから、告知書には必ず事実を書いてください。
さまざまな選択肢を検討しよう
契約引受の審査は、保険会社によって基準が異なります。
そのため、複数の会社の商品に申し込んでみれば、よりよい条件の契約に出会えるかもしれません。
引受緩和型保険(告知項目が少ない)や無選択型保険(告知が必要ない)といった選択肢もありますが、いずれも保険料は割高です。
さまざまな選択肢を比較検討し、自分にとって最適なものを選んでください。
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まとめ
条件付き契約は、本来なら引き受けできないような被保険者も保険に加入できるよう配慮し、生まれた制度です。
条件は少し厳しく感じられるかもしれませんが、条件外の保険事故はすべて保障されますから、契約者にとってもメリットは大きいと言えます。
納得できなければ他の選択肢を検討し、自分の健康状態と必要な保障に合わせた保険選びを行ってくださいね。(執筆者:近藤 あやこ)