目次
MADE IN JAPAN

最近、百貨店ではブランド名の横に「MADE IN JAPAN」と表示されている売り場が増えています。
以前はブランド名を表示しておけば、消費者は「このブランドなら買いたい」と購買意欲を燃やしていました。
しかし、最近はブランド名だけでは納得できず、店員に「この商品はどこ製ですか」と尋ねる消費者が増えてきたのです。
これは
を迎えている兆しではないでしょうか。
節約の原点に戻る
不景気が続いた日本では「ミニマリスト」や「断捨離」など、必要な物だけに囲まれて生きる生活スタイルが注目を浴びています。
外国の工場で大量生産された商品は、低価格であり、壊れたら修理するよりも買い替えたほうが安いことが当たり前でした。
しかし最近は、節約の原点である、修理をしながらでも長く使うことができるMADE IN JAPANに人気が集まっています。
傘は消耗品じゃない
「なくしたら買えばいい」と考えられていた代表的なものに「傘」があります。
「傘は500円以内しか買わない」と言っている人ほど、自宅に大量の傘がストックされているものです。たかが500円でも年5回購入すれば2,500円です。
1本1万円の傘だったとしても5年使い続ければ、年間2,000円です。
高い傘を持ってる人はなくさない
1本数千円以上する傘を持っている人は、長年同じ傘を大切に使い続けている傾向があります。
おそらく、高価な傘を持っている人は
という意識が働くのではないでしょうか。
筆者の傘は10年モノ
筆者は、10年以上前に1万円で購入した傘を今でも使っていますが、色あせも破れもありません。鮮やかなオレンジ色で、使うたびにうれしい気持ちになります。
傘は毎日使うものではありませんが、毎回透明のビニル傘をさしている人よりも
のではないでしょうか。
小宮商店甲州織長傘「かさね」
日本橋の小宮商店に甲州織長傘「かさね」という商品があります。
MADE IN JAPANの長傘は今までもありましたが、1本3万5,000円程度と高額な商品が多く、手が出しにくいものでした。
しかし「かさね」は、MADE IN JAPANでありながら1本2万円(税抜き)です。
「かさね」の魅力

生地の光沢と高級感だけでなく、紫外線カットも施されているため日傘としても使えるコスパの高さにあります。
骨の数も16本と多く、和傘を思わせる趣があり着物との相性も抜群です。「かさね」は、職人の手作業から生まれます。
そのため、修理をしながら使い続けることが可能です。「かさね」は
ことを思い知らされる逸品でしょう。
MADE IN JAPANの魅力は「品質の良さ」
縫い目だけを比べてみても、外国で大量生産された物とは全く違う緻密さと丁寧さを感じます。
ただ、MADE IN JAPANの唯一の難点が「時代の古さ」でした。
「おばあちゃんのお下がり」
みたいな商品が多かったのです。
とくに布製品は時代に合っていない物が多いのではないでしょうか。
MADE IN JAPANの布製品といえば和装小物やちりめん製品が多く、洋服とは合わせにくいものでした。
伝統プラス新鮮さ「米織小紋」

山形県に米沢織という織物があります。
従来は、高級婦人服に使われることが多い織物だったため、日常に取り入れる機会は少ないものでした。
しかし米沢織を現代的にアレンジして、日常生活に取り入れやすい形にした商品が登場しました。
「米織小紋」は、米沢織の特徴を取り入れたブランドで、すべての商品がMADE IN JAPANになっています。
すべてのデザインに古さは一切感じません
トートバッグやガマ口型ポーチなど、現代の日常生活に溶け込める形に姿を変えています。
外国製のトートバッグと比べれば値は張りますが、細部をみれば価格に納得できるでしょう。とくにバッグの内側へのこだわりはMADE IN JAPANだからこそ、の仕上がりです。

「米沢小紋」では、季節に応じた柄を限定生産
今秋は「トンボ柄」が登場しましたが、赤地に織りこまれたトンボ柄は、表面と裏面で色が逆転しているのです。
これは、米沢織ならではの手法で表と裏で色が逆転する仕組みになっているからできることです。
外国で大量生産されるトートバッグの内側は「裏面」と明らかにわかるものです。
しかし「米沢小紋」のトートバッグは、表面が昼間の景色だとしたら、内側には夕暮れの景色が広がっています。
表面にも裏面にもストーリがあり、主役になっているのです。もちろん、縫い目はバイアステープで丁寧に処理してあるためアクセントになっています。
「劣化」を魅力に変えることができるMADE IN JAPAN
いいものでも長く使っていれば劣化します。とくに革製品は長年使っているMADE IN JAPANでも色あせしたり型崩れしたりするものです。
一般的に「劣化」は悪くなるイメージですが、「劣化」を魅力に変えることができるMADE IN JAPANがあります。
経年劣化も魅力の一つ「吉田カバン」

バッグで有名なブランド「PORTER」で有名な「吉田カバン」は、MADE IN JAPANにこだわっている会社です。
スタイリッシュなデザインでビジネスにもカジュアルにも適しているため、根強いファンもたくさんいます。
「吉田カバン」のホームページには、新品の商品画像とあわせて「経年劣化」した状態の画像も掲載されています。
革製品は、年月が経てば劣化します。品質がいいMADE IN JAPANの商品は、それを逆手にとって「劣化を魅力」にできるのです。
使えば使うほど「味が出る」
「傷んだら買い替える」
ことは節約とは逆行しています。
「劣化を魅力」にできるということは、品質が劣化するわけではなく、使えば使うほど「味が出る」ということなのではないでしょうか。
品質は落とさず味だけを出せる技術力も日本が誇るMADE IN JAPANだからこそなのです。(執筆者:式部 順子)