ローソク足のチャートと共に一緒に描かれていることの多い移動平均線、皆さんはどのように活用されているでしょうか。
今回は移動平均線の活用方法を簡単にご紹介いたします。
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目次
移動平均線とは
終値の平均値を計算して描いた線グラフのことです。
ローソク足のような直近の株価の状況ではなく、過去からの大きな流れ(トレンド)が掴みやすいという特徴があります。
チャートの期間によって平均値を出す日数が変わり、多くのチャートでは下記の日数が採用されています。
週足 : 13週・26週・52週
何日あるいは何週の移動平均線を使うかは、投資期間をどれくらいで考えているかなど、人によって異なり正解はありません。
一つ言えることは、期間が短い移動平均線ほどよりローソク足に近い線となり、期間が長い移動平均線ほど緩やかな線となるということです。
覚えやすいゴールデンクロスとデッドクロス
上昇・下降のトレンドを掴みやすい移動平均線ですが、なかでも「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」はトレンドの転換を把握するサインとなります。
ゴールデンクロス
短期の移動平均線が長期の移動平均線を越えて上回るときを指し、下降局面から上昇局面への転換を示します。
デッドクロス
短期の移動平均線が、長期の移動平均線を下回るときを指し、上昇局面から下降局面への転換を示します。
移動平均線と株価の乖離を利用して動きを予測する
株価が移動平均線と大きく乖離する、つまり急騰あるいは急落すると、いずれは移動平均線に近づいていくという性質があります。
理由については心理面から考えると分かりやすいかと思います。
移動平均線よりも株価が上にあるということは、「過去〇日間で買ったほとんどの人が儲かっている状態」と言えます。
急上昇すると「売って利益を確定しよう」という人が出るため売りが出て株価が下落、移動平均線に近づくことになります。
移動平均線よりも株価が下にある時は、「過去〇日間で買ったほとんどの人が損をしている状態」あるいは「過去〇日間で売ったほとんどの人はうまく売り抜けた状態」と言えます。
ですので、急落すると追加買いや、売られすぎと判断されて新たな買いが入りやすくなり、株価が上昇し移動平均線に近づくというわけです。
上記のチャートでは、たびたび株価が大きく上昇しては再び下落し、移動平均線に近づいているのが分かります。
期間の長い移動平均線ほど、その動きは顕著になっています。
上記のチャートのように、移動平均線の数値を確認することができるチャートもあります。
大きく乖離した時は移動平均線の数値を確認し、「株価がこのあたりまで戻ってくるかもしれない」と予測することができます。
グランビルの法則
移動平均線によるチャート分析は、米国のジョゼフ・E・グランビル氏によって考案されました。
そのグランビル氏の名前のついた8つの売買サインについてご紹介します。
買いサイン
(2) 移動平均線が上昇を続けている状態で、株価が移動平均線を少し割り込むとき
(3) 移動平均線を上回っている株価が足踏みし、上昇中の移動平均線に近づいてきたものの、移動平均線を割り込むことなく再び上昇したとき
(4) 移動平均線が下降状態で、株価が大きく下落したとき
売りサイン
(6) 移動平均線が下降を続けている状態で、株価が移動平均線を下から上に少し突き抜けたものの再び株価が下げ始めたとき
(7) 移動平均線を下回っている株価が横ばいあるいは上昇し、下降中の移動平均線に接近してきたものの、移動平均線を突き抜けられず再び下落したとき
(8) 移動平均線が上昇状態で、株価が大きく上昇したとき
このように並べ立てると「とても覚えきれない!」となるかと思いますが、このうち4項目についはすでにご紹介したものです。
(4)と(8)は移動平均線と株価が大きく乖離しているタイミング、(1)と(5)についてはゴールデンクロスとデッドクロスです。
(2)・(3)・(6)・(7)の4項目だけをしっかりと覚えておけば良いかと思います。
まとめ
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ご紹介した移動平均線の活用方法を知っていれば、売買のタイミングを自分なりに判断できるようになります。
慣れるまではさまざまなチャートを見て、どこにサインが出ているか確認してみてください。
実際には法則に当てはまっているように見えても、違う動きをすることもあります。
そんなときは、「今回は違った」と早めの判断を下して対処することも必要です。(執筆者:高橋 珠実)