2018年も1か月を過ぎようとしています。
新聞や雑誌の特集でも、「2018年の注目銘柄」や「2018年の年末株価や為替予想」などが多く見られます。
専門家の予想が当たるかどうか、非常に楽しみにしています。
そこで今回は、短期的な株価や為替に焦点を当てるのではなく、中長期での資産運用の重要性と考え方をお伝えします。
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目次
株式投資とは
株式投資とは、どのようなものでしょうか?
多くの日本人にとって、株式投資は、以下のようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
2. 損をするかもしれないので怖い
3. 投資をするような多額の資産がない
しかし、本来の正しい株式投資とは、上記のようなイメージとは全く異なるものなのです。
まず、株式投資を理解するために、株式会社とは何かを考えましょう。
世界初の株式会社
世界初の株式会社は、1602年にオランダで設立された東インド会社です。
東南アジアで高価なコショウなどの香辛料を取り、欧州へ持ち帰って販売するというビジネスモデルです。
しかし航海は、荒波による船の沈没や、海賊に襲われたりする可能性もあり、非常に危険なものです。船をつくるのにも莫大なお金が必要でした。
というのが、株式会社の始まりです。これは現在の株式会社でも同じことです。
あなたは、今後、爆発的にヒットするビジネスアイディアを思いつきました。
しかし、お金は持っていません。銀行も、実績のないあなたに、多くのお金を融資してくれません。
そんな時、投資家が登場します。
という図式です。
投資家は会社の未来に期待する
上記で見てきた通り、投資家は会社の未来に期待をして、株式を買うわけです。
具体的に言えば、今年よりも来年、来年よりも再来年と、毎年毎年、売上と利益を増やしていくことを期待しています。
上場会社の経営者は、株主の期待に応えるために、毎年利益が上がるように経営をする必要があります。
営業マンであるあなたの目標が毎年アップするのは、投資家の期待に応えるためかもしれませんね。では、投資家の利益とは何でしょうか?
2. キャピタルゲイン(値上がり益)
投資した会社のビジネスが成功すると、企業の利益が増えます。
余った利益の一部を、投資家に配当金として還元します。
そして、ビジネスが成功している会社は、当然ですが、さらなる投資家が株を買いたいと集まります。
株を買いたい投資家が多くなれば、株価は上がります。株価が上がった株を売却すれば、売却益が投資家に入るという図式です。
このように、多くの投資家が少しずつ資金を出し合って投資をすることは、多額の資金がなくてもできるはずです。
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株式投資の期待収益率はプラス
株式投資をギャンブルのようにとらえている方もいますが、株式投資の期待収益率はプラスです。
一方、カジノや競馬、競輪や宝くじなど、ギャンブルとよばれているものの期待収益率はマイナスです。
期待収益率とは、長い間、あるものに投資をした結果の平均的なリターンのことです。
短期的な結果は分かりませんが、期待収益率がプラスということは、中長期で投資をし続ければ、平均的には利益が出ることを意味します。
反対に、期待収益率がマイナスのものに長年投資をし続ければ、最終的には損失が出るということです。
ではなぜ、株式投資の期待収益率はプラスなのでしょうか?
2. 各国政府の金融政策
基本的には、経営者は投資家の期待に応えようと、常に増収増益になるように会社を経営しようとします。
そして、努力をしたにもかかわらず、ビジネスがうまくいかなかった場合には、各国政府が手助けをします。
具体的には、景気が悪くなると、金融緩和を実施します。
金利を引き下げて、私たちが安くお金を調達できるようにします。
安い金利でお金を借りることができれば、融資を受けてビジネスをすることが可能ですね。
すると、さまざまな新規ビジネスが立ち上がり、経済が活性化します。
では、反対に景気が良くなりすぎた場合には、金融引き締めを行います。
具体的には、金利を引き上げて、バブルにならないように経済をコントロールするわけです。
そのため、5年も10年も全世界が景気が悪いということはないのです。
ちなみに、国際通貨基金(IMF)が発表した2018年の世界経済成長率は3.9%です。
分散投資が大原則
マネーコンサルをしていて、一番多い質問が、「どの株を買ったらいいかわからない」というものです。
このような方には、資産運用をもっとシンプルに考えていただきたいと思っています。
現在、日本の上場会社は約3,600社あります。
3,600社の企業の中から、優れた投資先を選ぶためには、当然ですが、企業の財務分析や経済全体の状況、そして同業他社を比較したり、投資のタイミングを計るため、テクニカル分析(チャート分析)などをする必要があります。
しかし、このような作業は、非常に時間がかかりますし、難しい知識も必要です。分析をしたからといって、必ず当たるわけでもありません。
個別銘柄への投資は、3,600本の木が生えていて、その中から光り輝く1本の木を探すようなものです。
これでは、難しくて資産運用など行えません。「木を見て森を見ず」では、資産は増えません。
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では、どのように資産運用を行えば良いのでしょうか?
それは、「森を見て木を見ず」というスタンスで、資産運用を行うことです。
具体的には、投資信託やETFを活用し、さまざまな国や企業、株式や債券、不動産などに分散投資をすることです。
どの森にお金が集まっているのかを考え、森ごと買ってしまえば、その中に必ず光り輝く木は入っています。
しっかりとした金融知識を身に付け、正しい資産形成を行えば、あなたの資産は着実に増えていきます。
もちろん、短期的には損をすることもあるかもしれません。しかし、資産運用は植物を育てるのと同じです。
肥料を与え、水をやり、日光を浴びせて少しずつ植物が成長するように、あなたの資産も、じっくり時間をかけながら、少しずつ増やしていきましょう。(執筆者:渡邊 一慶)