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かけた保険料が戻ってくる医療保険
従来から掛け捨てではない医療保険は存在していたが、その多くは、一定年齢で解約した時に、解約返戻金を受け取るというタイプの医療保険であった。
そんな従来の常識を覆す医療保険を5年前に発売したのが、東京海上日動あんしん生命。商品名は「メディカルKitR」
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60歳~80歳という年齢を指定して、その年齢になった時に、主契約の保険料全額が「健康還付給付金」として戻ってくるというしくみの医療保険だ。
その後、保険料が戻ってくる医療保険分野では東京海上日動あんしん生命の独断場であったが、2016年11月に住友生命グループのメディケア生命が「メディフィットリターン」という商品を発売し、健康還付金が戻ってくるという医療保険の認知度も上がってきている。
後発である「メディフィットリターン」は、主契約の保険料全額だけではなく、105%という設定も可能で、還付される年齢も60歳、65歳と東京海上日動あんしん生命よりも良い条件だ(105%を設定できるのは還付年齢が65歳設定のみ)。
例えば、30歳男性 入院日額5,000円の場合
メディフィットリターン 60歳時100%還付 : 3,705円/月
メディフィットリターン 65歳時105%還付 : 4,130円/月
それぞれ、健康還付給付金なしの医療保険に比べて、2.3倍~2.6倍の保険料を支払うことになる。
かけた保険料が戻ってくる医療保険のデメリット
(2) 還付される年齢までに入院や手術があり、それらの給付金を受け取った場合は、還付金から差し引かれる。
(3) 還付年齢以後は、解約返戻金も死亡保険金もなくなる。
(4) 還付年齢以後に医療保険を継続する場合は、掛け捨て型の医療保険よりも高い保険料(2.3倍~2.6倍)を支払うことになる。
上記(4)のデメリットを東京海上日動あんしん生命のメディカルKitRで試算をしてみよう。
例:30歳男性 入院日額5,000円 60歳100%還付の契約
60歳時点で118万2,600円の還付を受け、その後85歳まで保険を継続した場合、60歳~85歳まの総支払保険料が、98万5,500円。
同保険会社の掛け捨て型の医療保険を、入院日額を同条件で加入した場合、30歳~85歳までの総支払いが、97万3,500円。
つまり、例え60歳で還付金を受け取ったとしても、その後医療保障を継続した場合、長生きすればするほど損になるというしくみだ。
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最後に
保険会社は絶対に損をしないように保険商品をつくる。
掛け捨てではない医療保険で、保険料全額が戻ってくるという言葉だけに惑わされないようにしていただきたい。 (執筆者:釜口 博)