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安値更新の銘柄を調べる
株式市場全体が大きく下がっては上げるという日々を繰り返しています。
今回は市場全体が上がっているのに安値を更新してしまった銘柄を調べてみました。
「大きな損失を招きかねないパターン」が見られましたのでご紹介します。
「悪材料の発表」→「投資判断引き下げ」
3月30日、日経平均は295.22円高と1.40%上げて終わりました。
多くの銘柄が上昇している中、安値を更新した銘柄は約10社です。
その中でも東証1部の銘柄2社の下落について共通点がありました。
それは、
という「ダブルのダメージ」パターンです。
スルガ銀行[8358]
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安値を更新した3月30日、一時は昨年の安値1,459円も割り込みました。
3月28日にJPモルガン証券が投資判断を
目標株価については従来2,060円としていたのを1,300円に変更したことが要因です。
1月23日付に関連記事
日本経済新聞電子版のニュースをさかのぼってみると、1月23日付で関連記事がありました。
簡単に言うと、
という内容です。
この件についてその後たびたびニュースが報じられ、JPモルガンが投資判断を引き下げたのもこの件が理由でした。
今年の1月半ばから株価は右肩下がりに転じています。
そして投資判断の引き下げによってさらに大きな下落を招きました。
田辺三菱製薬[4508]
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3月30日には前日より2.62%下落し、年初来安値を更新しました。
前日の29日にみずほ証券が業績予想を下方修正し、投資判断は「中立」のまま目標株価を2,500円から2,270円に引き下げています。3月30日終値は2,080円。
昨年10月に業績の下方修正を発表
さかのぼってみると、株価が下落し始めた昨年10月に
しています。
今回のみずほ証券の業績予想は、2月5日に会社側が発表した第3四半期決算に示されている業績予想よりも良い数字ではあるものの株価下落の要因となってしまいました。
最初の悪材料で売るのが無難
チャートを見ても分かる通り、どちらの銘柄も悪材料が発表された段階から、数か月の時間をかけて下がってきています。
スルガ銀行は約40%、田辺三菱製薬は約23%の下落です。
ジリジリと下がりながら、投資判断の引き下げでダメ出しを受けた格好です。
このような大きなダメージを避けるには、まず悪材料が出た段階で売るというのが無難な判断です。
特にアナリストがフォローしているような株であればなおさらです。
持ち株がアナリストからどのような評価を受けているのかはこまめにチェックしておいた方がよいでしょう。
最初の悪材料で売らなかった場合はチャート(移動平均線)で判断

最初の悪材料だけで「売る」という判断をするのは難しさがあります。
銘柄によっては「悪材料出尽くし」として上昇に転じることもあれば、業績にそれほど影響しない悪材料とみなされ下げないこともあるからです。
そこで、最初の悪材料で売らなかった場合は、次の判断ポイントとしてチャートを使うのが良いかもしれません。
今回の2銘柄とも悪材料が出てからしばらくして、
になっています。
下降トレンドになったことを確認してから売っても、まだその後の下落を避けることができました。
後出しじゃんけんで学ぶ
ここまで書いたことは、すべて後出しじゃんけんのようなもので、今だから言えることではあります。
それでも、とりかえしのつかないダメージを避けるには有効だと思います。(執筆者:高橋 珠実)