2017年の仮想通貨高騰以後、仮想通貨を用いた詐欺被害も増えています。
さまざまな詐欺の手口がありますが、その中でも最近の詐欺の手口として利用されるのがOTC(オーバー・ザ・カウンター)取引。
そして、動く金額が多いのに、なぜか表面化しにくいのです。
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第三者がいないからこそ騙しやすい
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OTC取引とは「相対取引」のことを言います。
証券や外国為替の売買において、顧客の出す注文に対し、証券会社やブローカーが直接取引の相手方となって行う取引です。
当事者1対1の取引であるため、価格も取引方法も当事者同士の交渉によって決まります。
大口取引の場合、効率よく約定価格が決まるため、この方法をあえて選択する投資家もいます。
詐欺の手口としては非常にやりやすい方法
当事者しか関係せず、第三者を介さないため、詐欺の手口としては非常にやりやすい方法でもあります。
先日10日、神戸在住の7人が仮想通貨1.9億円分をだまし取ったとして逮捕されました。その際に用いられたのがOTC取引でした。
とのことです。
OTC取引増加の背景
一般投資家は取引所を介して取引を行うことが多いものです。
しかしあえて取引所を介さず、OTC取引を選ぶ投資家が最近増えています。
第三者を介した取引の方がより安全なのに、なぜでしょうか。
1. SkypeやLINEなどの無料通話サービスの普及と定着
一昔前まで、通話もTV電話もお金を払わないと使えないものでした。
しかしインターネットとスマホ、SNSの進化により、無料で1対1の電話やグループ通話、ファイルの共有が行えるようになりました。
その結果、
としても使われるようになりました。
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2. ハッキングの恐怖
取引所で相次ぐ仮想通貨のハッキングがあります。
2017年から2018年前半にかけて、日本の仮想通貨取引所でウォレット内の仮想通貨のハッキング事件が相次ぎました。
コインチェックでのNEM流出事件がみなさんの記憶に新しいかと思います。
お手軽な通信手段の普及と仮想通貨盗難への懸念から、OTC取引が増えていると言われています。
詐欺の狙い目
投資家の本音としては、相対取引を選ぶもう1つの理由があります。
それは
という心理です。
仮想通貨は通常の円やドルと違い、取引をするのに金融機関を通す必要がありません。
P2P(ピアツーピア)というブロックチェーンシステムのおかげで、メールと同じ感覚で取引の相手方に仮想通貨を送ることができます。
「金融機関を通さない」ということ
ということです。
取引に応じてくれる相手さえ見つかり、かつお互い「税務当局には黙っておく」ことで同意すれば無税のまま仮想通貨を決済できます。
まさにそこが詐欺の狙い目

と騙す側は計算しています。
その結果、課税されるよりもずっと高い金額を失うハメになるのです。
違法行為は割に合いません。これは詐欺だけでなく課税逃れも同じです。
「損したくない」という気持ちが強い人ほど冷静さを失います。
結果、取引相手が信頼に足るかどうかの判断がつかなくなり、詐欺に遭う可能性が高くなるのです。
課税される以上に避けたいのは「全財産を失うこと」。
法律を守り、何がもっとも大事かを冷静に見つめながら取引を行うようにしましょう。(執筆者:鈴木 まゆ子)