インターネットが普及したことで安く楽しめるエンターテイメントが増えました。
中には著作権のあるマンガや音楽、映画を無料で楽しめるサイトもあります。
ただ、こういった無料サイトには注意が必要です。
あなたがサイトを楽しんでいる間に、電気代が盗まれているかもしれません。
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目次
最近増えている「クリプトジャック」とは何か
クリプトジャックとは、ウェブサイトの閲覧者やスマホアプリの使用者のPCやスマホを自らの仮想通貨マイニングのために無断で使用する行為をいいます。
ここで疑問を持ちますよね。
「え? 誰かに直接PCやスマホを触らせているわけではないのに?」と。
確かにPCやスマホを直接使用してマイニングを行うわけではありません。
しかし、その人が閲覧するであろうウェブサイトや使用するであろうアプリに仮想通貨マイニングのスクリプトを仕込んでおくのです。
そうしておけば、閲覧者や使用者がそのウェブサイトやアプリを使用している間に自動的にマイニングが行われ、採掘した仮想通貨は仕込んだ人自身に送り込まれる仕組みです。
ちなみに、マイニング(採掘)とは、仮想通貨の専門用語で、仮想通貨取引の承認・確認に関する計算行為をいいます。
この整合性がとれ、成功すると報酬として仮想通貨がもらえることとなっています。
この報酬を目的に、通常は自らマイニングボードなどを用意して自分で電気代や通信代を負担して計算しています。
しかし、クリプトジャックにおいては、閲覧者やアプリ使用者に電気代や通信代を負担させながら自分は無償でマイニング報酬を得ることができるのです。
クリプトジャックは仮想通貨人気に伴い、現在も増加しています。
スウェーデンの検索サイトにクリプトジャックのスクリプトが埋め込まれていたことが昨夏話題になりました。
さらに今年、イギリスの政府系サイトを含む5,000前後のウェブサイトがクリプトジャックのマルウェアに感染していました。
また、GoogleやYou Tubeの広告にマイニングスクリプトが埋め込まれていたことが発覚しています。
日本でも、「漫画村」という漫画の無料閲覧サイトにマイニングスクリプトが埋め込まれていたことが話題となりました。
推定では、このクリプトジャックにより漫画村は月に200~300万円の収入があったのではないかとされています。
「クリプトジャックが急増」の背景とは
なぜこのように「無断でマイニング」が増えているのでしょうか。
理由は2つです。
1つはマイニングの採算性の問題、もう1つは他の手段で収益が見込めなくなったことにあります。
1. マイニングの採算性の問題
まず1つ目ですが、ビットコインを含めた多くの仮想通貨のマイニングには、膨大な計算をしなくてはなりません。
悪意のある者がいたとしてもその悪意を排除できるような計算システムになっていますが、ムダな計算作業を総当たり戦でやらなくてはならないのです。
膨大な計算をすればその分電気代がかかります。
メジャーな仮想通貨になればなるほどマイナー(採掘者)も多いため、採算が悪くなります。
月のマイニング報酬が600円だけどかかった電気代は5,000円という割に合わないこともめずらしくありません。
ただし、人気サイトにマイニングスクリプトを埋め込んだりすれば、閲覧者のCPUがマイニングパワーを提供してくれるため、マイナー側はコスト0円、報酬だけ手にすることができます。
2. マイニング以外の稼得方法が効率のよいものではなくなってきた
2つ目は、マイニング以外の稼得方法が効率のよいものではなくなってきたことにあります。
昔から稼ぐ手段として人気があるのはアフィリエイトですが、結果を出すまでに時間がかかる上、努力と根性が必要とされるため、以前ほど注目を集めなくなりました。
また、ダークな稼得手段としてランサムウェアが一時話題になりました。
しかし最近はランサムウェアの認知度が高まってきたためほとんどの人が引っかからなくなってきた上、途上国などでは身代金を請求されても払う金がないため、採算性があまりよくないことが分かってきています。
むしろ、閲覧者がいれば確実にマイニングできるクリプトジャックの方が稼得手段としては効率がいいわけです。
このような背景のため、クリプトジャックはしばらく減りそうにありません。
クリプトジャック、何に気をつけるべき?
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「PCのファンがうるさい」
「あるアプリを入れたら妙にスマホの電源が切れやすくなった」
このような状況があったら、クリプトジャックを一度疑ってみてよいでしょう。
また、無料のエンターテイメントサイトには少し気を付けた方がいいかもしれません。
閲覧者が多いサイトであればあるほど、その分たくさんの他人のCPUパワーを使えます。
そのため、悪意のマイナーの標的になりやすいのです。
「タダほど高いものはない」、これはインターネットによる無料の楽しみが増えた今でも言えることかもしれません。(執筆者:鈴木 まゆ子)