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退職金の額は年々減少している
長寿の時代、定年を迎えた時点で十分な貯蓄があることが理想ですが、理想通りにいく人は多くはありません。
貯蓄が十分でない方も、退職金があると考えている方も多いようですが、実は、退職金の額は年々減少する傾向にあります。
厚生労働省のデータによると、勤続35年以上の退職金の額は平成15年から平成25年までの10年間に、2,612万円から2,156万円まで約500万円も減少しています。
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勤続年数20~24年の従業員の退職金は同様に300万円も下がり、1,000万円を切る水準となりました。
景気が長らく低迷していた時期の統計ではありますが、景気が好転してきたとしても、いったん減少した退職金が増加に転じるかはわかりません。
手元の貯蓄に働いてもらう
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貯蓄が十分でない方が、50代のうちにしておくべきこと。
・ 支出を減らす努力
・ 手元にある貯蓄についても寝かしたままにせず「お金に働いてもらう」
金利0.2%の定期に500万預けたら…
定年後のための資産のうち500万円を、銀行の定期預金に入れたままにしておいたらどうなるでしょうか。
少し高めの金利が得られるネット預金の5年定期に預けていたとしても、金利は0.2%前後(2017年9月現在)。
500万円を1年間預けても、もらえる金利は1万円(税引前)。
つまり500万円を10年間預けても、510万円になるだけ。
年利3%で運用した場合
下記のグラフのように10年後には、100万円以上資産を増やすことが見込めます。
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もちろん、これはあくまでもシミュレーションであり、実際にこのようにうまくいくとは限りませんが、資産運用において年利3%はそれほど難しい目標とはいえません。
注意しながら運用すれば十分に達成できる利率といえるでしょう。加えて現在、資産運用に有利な税制が用意されています。
資産運用を味方につけて老後資金の充分な確保を目指し始めてはいかがでしょうか。
投機ではなく、資産運用や投資を
巷では「資金100万円を3年間で1億円に増やす!」といった刺激的なタイトルの書籍やセミナーなどもたくさんあります。
そのように急激に資産を増やすやり方は、「資産運用」や「投資」ではなく「投機」になりがちです。
最初は年利2%、3%といった1ケタ前半の利回りで十分な効果があるので、20年、30年と地道に続けることができる方法で資産運用に取り組みましょう。
年利0.2%と3% 毎月3万ずつ30年間積立
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年利0.2%の定期預金があったとして、毎月3万円を30年間預けると、約1,113万円がたまります。
同じ毎月3万円の積立でも、年利3%で運用し続けると、30年後には約1,748万円です。
収入が伸びない時代であればなおさらのこと、コツコツとお金に働いてもらうことが大切なのです。
50代に求められる資産運用のスタンスは
定年後の生活の準備期間である50代において、資産運用を始めることが大切ということがおわかりになったのではないでしょうか。
ただし、資産運用といっても、積極的にリスクを取って資産を増やすことを目的とした運用をすればいいというわけではありません。
50代の資産運用のスタンスは、40代までの資産運用のスタンスとは違います。
その人の資産状況や資産運用の習熟度によっても異なりますが、各年代の一般的な資産運用スタンスはおおむね次のようなものでしょう。
40代まで:攻めの運用
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多少の損失があってもこれからの収入や資産運用でカバーできる。
ある程度リスクをとって大きく増やすことを狙いたい。
(例)国内・海外・新興国の株式を中心に運用
50代:スキルUPし、減らさない運用
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定年後の生活への準備期間。
資産を着実に増やしながら、運用スキルを磨くことに専念する。
リスクをとって失敗すると、定年後の生活に支障を来すので、大きく増やすことは狙わなくてもいい。
減らさない資産運用を心がける。
(例)国内外の株式に投資する一方、国内外の債券にも分散投資して、資産全体の変動をゆるやかにする
60代以降:守りながら、成長させる運用
これまで築いた資産をなるべく減らさないように守りつつ、長生きリスクに備えて資産の成長を目指す。
50代での貯蓄や資産運用の成果によって、60代以降の生活が決まってくると言ってよいでしょう。
50代の時にあまりお金を増やせなかったからといって、60代になってから焦って資産運用で増やそうと挑戦しても、なかなかうまくいきません。
逆に大切な老後生活の資金を目減りさせてしまうかもしれません。
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充実したセカンドライフのために
50代の時にがんばってお金を増やすことができた人は、その分、60代以降のセカンドライフがラクになります。
その意味でもできるだけ早いうちから資産運用をスタートすることが大切なのです。
(提供:ファイナンシャルアカデミー 定年後設計スクール)