友達のこと、先生のこと、勉強のこと、それらは当たり前に話すのに、なかなか機会がなくてスルーしてしまいがちな「お金」の話。
電子マネーやゲーム、スマホなどで利用する「見えないお金」も身近な存在と言っていいでしょう。
お金の仕組みを知ることは、社会の仕組みを理解する上で必要不可欠。
今回は子ども達を対象とした「マネー教育」についてご紹介していきます。
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目次
Kids Money Station(キッズ・マネー・ステーション)
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子どもの時からお金のセンスを身に付け、稼ぐ力を育むことを推奨する「キッズ・マネー・ステーション」。
幼児から高校生まで年齢に合ったプログラムや、PTAや学校向けの講演、イベント開催や講師の育成など多岐に渡る活動を行っています。
ここでは「キッズ・マネー・ステーション」のプログラムの一部をご紹介しましょう。
「はじめてのおしごと体験」(職業体験)…幼児、小学生向け
品物の値段を決めたり、お客さんを呼び込んだり、店長も体験。簡単な収支計算まで盛り込んだプログラム。
お金とは限りあるもの、働いて得られるもの、大切にするべきものであることを体感できます。
「親子おこづかい会議」(お金の管理)…小学生
おこづかいのもらい方、使い方、貯め方を学ぶワークショップ。
親子でおこづかいの金額やルール、お手伝いの設定などを決め、「おこづかい契約書」を作ります。
「私たちの生活にかかるお金」(消費生活)…幼児~高校生
社会保険、税金、食費、家賃、ケータイ代など生活にかかる費用をワークシートを使って学びます。
オーストラリアのファイナンシャル教育に基づいたプログラム。
「ハンバーガーから学ぶ世界のお金」(為替)…小学生~高校生
円安、円高になったらハンバーガーはどうなる?
普段何気なく使っているお金が世界と繋がっていることを学びます。
実際に外国のお金を展示し、外国の文化にも触れることができるワークショップとなっています。
「森のクマさんとお金を学ぼう!」(見えないお金、電子マネー)…幼児、小学生
電子マネーをはじめ、ゲームやケータイなどで利用する「見えないお金」が増えています。
基本的なお金の機能や役割、「見えないお金」のメリット、デメリットを分かりやすく学べます。
「社会人になる前に知っておきたいお金のこと」(お金の基礎)…中学生~大学生
電子マネー、クレジットカード、デビットカード、そしてリボ払い、分割払いなど社会に出る前に知っておきたいお金の常識を学べるプログラムです。
このほかにも小中学生を対象とした「投資の基本」や、商品の考案・売り方など「会社のしくみ」をテーマにしたプログラムもあります。
所要時間は30分~120分程度。それぞれの年齢に合わせた分かりやすい内容となっています。
「キッズ・マネー・ステーション」の詳細はホームページをご覧下さい。
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学校が取り組むマネー教育
金融広報中央委員会が提供しているサイト「知るぽると」。
私達の暮らしに役立つ身近なお金の知恵や情報を知ることができます。
また、子ども達を対象にした金融教育の授業の進め方や実践事例、教材や指導書なども取り扱っています。
ここではその一例をご紹介します。
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「カレー作りゲーム」
お金の代わりにおはじきを使用。
1人が持てるおはじきの数は10個となっており、その中から次の材料を選びます。
じゃがいも…2個
玉ねぎ…2個
にんじん…2個
ピーマン…1個
豚肉…3個
牛肉…4個
シーフードミックス…2個
カレー粉…1個
牛乳…1個
自分が普段抱いているお小遣いやお金に対する思いなどについて話し合う。
↓
「カレー作りゲームに取り組む」
与えられたルールにそってワークブックに取り組み、記入する。
↓
「ゲームの結果発表」
自分が選んだもの、買うのを諦めたものを発表する。
他の児童の発表から、様々な買い方があることに気付く。
↓
「分かったことをまとめる」
ゲームで分かったことを考え、ワークブックに記入し発表する。
この「カレー作りゲーム」では次のようなことが学べます。
・限られたお金の中で何かを選ぶと、ほかの物が買えない可能性がある。
・同じテーマの買い物でも、いろいろな買い方がある。
・自分の価値観で商品を選ぶ。
このほかにも
「ものの値段が決まるしくみを知ろう」
「消費税のひみつを調べよう」
・生活設計・家計管理に関する分野の実践事例
「お小遣いは必要か?学級討論会をしよう」
「中学に入学する費用っていくらかかるの?」
・消費生活に関する分野の実践事例
「クレジットカードの使い方を考えよう」
「めざそう買い物名人、あなたはカード派?現金派?」
以上のような内容に取り組む小学校もあり、お金や経済に関したあらゆる分野に接する機会も増えています。
学校という場所で、誰もが平等に知識を得られるのは非常に重要なことだと言えるのではないでしょうか。
子ども向けに分かりやすくまとめられた「お金の本」
おかねの絵本「おかねがあれば」
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「お金があればおもちゃが買える、おやつが買える、洋服が買える…」などといった話の後で、「そのお金はどこから来るものなのか」ということに目を向けていきます。
おかねは、おしごとをしてくれたひとに「ありがとう」をつたえるものなんだ。」
という一文は、非常に印象的。
お金は、物を手に入れるための「交換」という役割、仕事の対価、そして感謝を伝えるものでもあるということを分かりやすく伝えています。
「お金」のことを楽しみながら学べる本
「お金」とひと口に言っても、様々なテーマがありますが、
・貨幣や紙幣の詳しい説明
・お金の流れ、経済の仕組み
これらのことを、子ども達にも分かりやすく丁寧に説明している本があります。
「ドラえもん社会ワールド お金のひみつ」(小学館)
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まずは大人気のキャラクタードラえもんの漫画も楽しめる「ドラえもん社会ワールド お金のひみつ」。
これは「ドラえもん社会ワールド」としてシリーズ化されている中の1冊です。
ほかには「日本の地理とくらし」、「日本と国際社会」、「政治のしくみ」、「憲法って何だろう」、「古代文明のひみつ」といったものがあります。
「学校では教えてくれない大切なこと (3)お金のこと」(旺文社)
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シリーズ化されている本で、もうひとつオススメなのが「学校では教えてくれない大切なこと (3)お金のこと」。
ストーリー仕立ての漫画やキャラクターが登場し、子ども達に親しみやすい内容となっています。
こちらも「学校では教えてくれない大切なこと シリーズ」の中の1冊です。
ほかにも「(12)ネットのルール」、「(7)物の流れ」、「(10)身近な危険~防災と防犯」、「(17)夢のかなえ方」など、様々な種類の本があります。
どちらも「お金のことを楽しみながら学べる」というのが大きなポイント。
子どもだけでなく大人が読んでも楽しめます。
大人が読んでも面白い「こども向けのマネー教育本」
子ども向けのマネー教育では、次のような本も注目されています。
「マナボーとまなぼう おかねのえほん」(講談社)
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「お金で物を買う」という意味から、店でお金を払った後に、そのお金はどこに行くのか、そしてお金の種類などを分かりやすくまとめている絵本です。
3歳~。
「なるほど!お金のはなし」(BL出版)
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物々交換をしていた時代から、現代までのお金の歴史を詳しく教えてくれる絵本です。
難しい本かと思いがちですが、ユーモラスな絵が、子ども心を飽きさせません。
大人が読んでもおもしろい内容です。
小学校高学年~。
「生きるための「お金」のはなし」(サンマーク出版)
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・お金の力に惑わされちゃいけない
・「生きる」ことはたくさんのお金を使うこと
・ケチと節約は違う
などといった目次が並ぶ、大人が読んでもためになる本。
お金の大切さや怖さを、やさしく解説しています。
マネー教育を行うのが当たり前の時代へ
「子どもにはお金の話をしてはいけない」とタブー視されていたのは、もう過去の話。
生きていく上で、お金は必要不可欠なもの。
近年は、電子マネーやクレジットなど、見えないお金での取引も当たり前に行われているので、トラブルを未然に防ぐためにも正しい知識を早めに得ることは非常に重要です。
これからは「まだ早い」、「そのうち分かるようになる」とやり過ごすのではなく、家庭や学校でも、もっと積極的にマネー教育と向き合う姿勢が必要だと言えるでしょう。(執筆者:藤 なつき)