今後の年金不安などの影響により、「投資」は資産設計に欠かせないものとなりました。
ただし、人によっては無理な投資をして、かえって精神的に追い詰められることも。
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そうならないように、知っておいた方がいいのが「リスク許容度」です。
目次
リスク許容度とは何か
リスク許容度とは、投資家の許容できるリスクの範囲のことを言います。
具体的に言うと「資産運用に伴い、発生するリスク(損失)をどの程度OKできるか」ということです。
現代のポートフォリオ理論では、株式や債券など複数の資産を組み合わせてポートフォリオを組む場合に、投資家が取り得る最大のリスク水準を測定するための指標だと言われています。
過去から現在に至るまで、金融市場における投資対象は原則として「ハイリスク・ハイリターン」か「ローリスク・ローリターン」のみです。
そのため、リスク許容度の高い人はハイリスクな投資を、リスク許容度の低い人はローリスクな投資を選択するのがベストですが、多くの人は「自分がどの程度のリスクを取れるのか」を知らずにいます。
優秀で稼ぐ能力のある20代が、自分のリスク許容度を過少評価し預貯金だけしかしていなかったら、投資機会を失い、手にできたリターンを取り逃すことになります。
また、年金暮らしの80代が、仮想通貨の高騰ぶりに心惹かれて資産を全額投資してしまったら、最悪資産を全部失い、その後の生活が困窮することになるかもしれません。
また、価格変動に悩まされて眠れなくなり、健康を害する危険もあります。
このような事態を防ぎ、それぞれが不安の少ない状況で投資を行う指標として、リスク許容度を知ることは有効なのです。
リスク許容度をどう測ったらいいのか
リスク許容度は見方を変えると「生活や資産維持に余裕をもって投資を行う指標」です。
要素は選んだら無限にあるのですが、主に次のようなものが要素として用いられます。
・家族構成:扶養家族がいる、あるいはより多い場合、生活にかかる経費が多くなります。また、扶養義務もあるため、リスク許容度は低くなります
・年収・余裕資産:年収が高い、あるいは資産規模が大きいと投資に回せるお金が多くなるため、リスク許容度は高くなります
・投資経験・知識:経験値や知識があり、感情をコントロールしやすい方が、リスク許容度は高くなります
この他、性格なども影響します。
もともと繊細で、些細なことでも気になって仕方がない人が、ハイリスクの投資をした場合、不安や恐怖で生活に支障が出ることもあります。
目に見える要素だけで投資の対象や配分を決めない方が安全です。
また、リスク許容度を知るサイトとして次のようなものがあります。
いくつかトライしてみて、自分の投資タイプを知っておいてもいいでしょう。
全国銀行協会: 「あなたのリスク許容度診断テスト」
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モーニングスター: 「リスク許容度診断」
明治安田生命:「リスク許容度診断シート」
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なお、このリスク許容度に「いい」「悪い」はありません。
それぞれの特性を比較するための指標ではなく、あくまでも「自分自身が安心して、余裕をもって投資を行える」ための指標なのです。
また、状況が変化したらリスク許容度が変わることもあります。
投資はあくまでも、自分の人生を幸せにするための手段です。
ご自身のリスク許容度を知り、無理のない投資で楽しく毎日を過ごしていただけたら幸いです。(執筆者:鈴木 まゆ子)