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「損切」という判断

株式投資で損失を出したことのない人はいないかと思います。
損失を出すことは「失敗」ではありません。
大きな損失を防ぐために、損切という判断が必要な時があります。
そんなときは自分の中に「危険思考」が芽生えているかもしれません。
私が大きな損失を出したのは「3回目に買った株」
私が初めて購入した株は「新日鉄(現・新日鐵住金)」です。
この時の銘柄選びの基準は、
「硬派な製造業」
という、なんとも曖昧な基準で、証券会社社員だったのに、業績などについて自分で詳しく調べた記憶がありません。
ただ当時は鉄鋼業界が活況だったため、業績が良さそうなイメージを持っていました。
ラッキーなことに、利益を出して売却できました。
次に買ったのは中国株です。
2回目にして外国株に手を出したのは、当時の環境が大きかったと思います。
これも幸い大きな値上がりをしてくれました。
そして3回目に買った中国株で、これまでの利益が全てなかったことになる大きな損失を出しました。
何でもそうですが、慣れた頃が一番危険ですね…。
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なぜ損切ができなかったのか
大きな損失を出したのは、もちろん早い段階で損切ができなかったことが原因です。
ではなぜ損切ができなかったのでしょうか?
振り返って考えてみると、当時の自分が意識できていなかった3つの危険な思考がありました。
危険思考1:自分が選んだ株は上がるような気がする
過去2回、利益を出すことができたので気が大きくなっていたのでしょう。
証券会社で働いているわけですから、株が大きく下がることがあるのは百も承知のはず。
それなのに、どこかで「自分が買った株はきっと上がる」という気持ちがあったのです。
ちなみにこの思考は、油断すると今でも忍び寄ってきます。
特に、調べに調べて「なんて魅力的な銘柄なのだ!」と惚れ込んでしまった時が危険です。
という気持ちが生まれてしまいます。
自分がこのような思考に侵されているかもしれない、という自覚をすることは大切かもしれません。
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危険思考2:今は下がっているけど、また上がる気がする
実は3回目に買った株は、一時期利益を上げていました。
まだ上がると思いそのままにしているうちに、買値より下がってきました。
一度利益のある状態を経験しているだけに、薄利で売りたくない気持ちと、また上がるだろうという気持ちが大きかったことを記憶しています。
もちろん、また上がるかもしれません。
しかし同時にまだ下がるという可能性もあることが頭から抜けているのは客観的でない状態です。
危険思考3:無理に損切しなくてもいいような気がする
株式投資は自己責任で行うものです。
さまざまな情報や意見を聞いたとしても、最終的な判断は自分がしなければなりません。
しかし持っていた中国株が下がって損失が出はじめると、無意識に「自分にとって都合のよい情報」だけを採用して、自分で判断すること(損切すること)を放棄してしまいました。
私の場合は「中国株はこれからも伸びる」という大きなくくりの情報を採用し、目の前の自分の損失状況に目を瞑りました。
金銭的なダメージもさることながら、自分が株で損をするというメンタルのダメージを避ける自己防衛のパワーは強いものです。
損切の重要性を知識として知っていながら、自分に当てはめることができませんでした。
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最終的にどうしたか
最終的に私は損切という決断をしました。
しかしそれは買値からほぼ半値になったときです。
わたしは途中から株価を見ないようになりました。
その間もじりじりと緩やかに下がっているのは把握していましたが、外国株だったので為替も含めいくら損をしたのかは把握していませんでした。
数か月後…久しぶりに自分の損益状況を見て、
という現実を受け入れ、損切しました。
この大きな損失を出したことは勉強にはなりました。
今は損切することが必要なことだと心から思えます。
皆さんも損失がでたら、危険思考に侵されていないか、冷静に見極めてみてください。(執筆者:高橋 珠実)