マイホームと言っても選択肢はさまざまです。
一戸建てとマンションと大きく二つに分類されますが、それぞれに新築と中古があります。
新築一戸建てには建売と注文建築があります。
新築マンションは分譲マンションがほとんどです。
コーポラティブハウスというマンション版注文建築のような形態もありますが、今回は一戸建ての注文建築に絞ってお話をします。
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目次
注文建築は工事中の資金繰りも大切
建売や中古住宅・分譲マンションのように完成品の売買の場合、お金の支払いタイミングは契約時の契約金と引渡し時の残金の2回が一般的です。
ところが注文建築の場合、
・ 工事着工時の着工金、屋根が立ちあがったタイミングの上棟時金
・ 竣工時の竣工時金
の3回から4回に分けて支払います。
これは工務店やハウスメーカーも建材の仕入れや職人さんへの支払いなど工事が完了するまでの間にも先に支払いが発生することから工事代金を数回に分けて入金してもらう商慣習からきています。
工事代金の全額を自己資金で用意している方は、決められたタイミングでの支払に関して特に問題は生じないでしょう。
問題が生じるのは住宅ローンを借りる予定の方の場合です。
住宅ローンの借入額が工事代金に対して比率が高い場合やフルローンで借りている場合、工事途中の支払いの際に支払う原資が不足します。
住宅ローンは一般的には工事途中には実行されません。
家ができ上がって、銀行の担保権である抵当権の設定登記の申請と同時に実行されることが多いです。
そうすると工事途中の支払い原資が確保できないという問題が生じます。
この問題を解決するのがつなぎ融資です。
つなぎ融資のしくみ
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注文建築でのつなぎ融資は工事途中の支払いのために利用する短期のローンです。
そしてつなぎ融資を借りる際にはもちろん諸費用も発生します。
つなぎ融資を利用するのに必要な諸費用には次のようなものがあります。
・ つなぎ融資期間中の利息
・ 抵当権設定登記費用(金融機関による)
つなぎ融資の手数料の金額は金融機関によっても違いますが、借りる際に発生します。
つなぎ融資の利息は借りている期間中、発生します。
そして利息の支払い方法にも金融機関ごとに違いがあり、おおよそ次の3パターンになります。
2. 予定された工事期間分の総利息額をつなぎ融資の実行金から先に差し引き、工事完了後に清算するパターン(先払いパターン)
3. 工事が完了する際に実際に発生した利息を精算するパターン(後払いパターン)
毎月払いパターンの場合、家賃と支払いが重なることになります。
この場合、工事期間中の家計管理にも注意が必要です。
もちろん元本の返済はなく、利息分だけですが、もしつなぎ融資の金利が3%の場合、1,000万円あたり毎月2万5,000円の計算になります。
つなぎ融資の対応がない銀行もある
つなぎ融資は通常、住宅ローンを借りる銀行で借ります。
ところがつなぎ融資の扱いがない銀行もあります。
正確にいうとつなぎ融資ではない方法で対応できる銀行があります。
分割実行
つなぎ融資は短期の別のローンを借りますが、分割実行は借りる予定の住宅ローンの一部を実行する方法です。
全部で2,000万円借りる予定の住宅ローンのうち着工時に500万円、上棟時に500万円というように実行していく方法です。
金利が実行のたびに確定していくイメージです。
着工時に全額実行
一般的に住宅ローンは建物の工事が完了して登記ができるようになるまで実行されません。
ところが一部の銀行では土地だけに抵当権を設定し、建物分の住宅ローンを着工時に全額実行してくれる銀行があります。
口座に着工時には全額入金されている状態となりますので、工事中の支払い原資が確保されます。
住宅ローン選びは金利だけではない
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住宅ローンを選ぶ際に金利は重要な要素ですが、注文建築の場合には工事中の資金繰りのために資金が用意できる住宅ローンかどうかという視点も大切です。
大手のハウスメーカーでは独自につなぎ融資を用意できるところもあります。
金利も低い傾向にありますので、施工をお願いする会社に一度、確認してみると良いと思います。(執筆者:佐藤 陽)