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上司からそう言われ、わずかな望みをかけてクイズを解いた人たちのことを思うと、すごく心が苦しくなります。
自分の夫や子どもが、もし上司にこんなことを言われながら働いていたら…と想像すると、さらに胸が締め付けられます。
頑張って節約してお金をためたって、ろくに休みも取れない仕事を続けていたら、いつか疲れきって働けなくなってしまうかも。
それでコツコツためたお金が一気に吹っ飛ぶとしたら、一体なんのために頑張っていたのかわからなくなりそうです。
人生なにがあるかわからないとはいえ、未然に防げることがあるなら防ぎたい。
理不尽に耐えるのが社会人の美徳なのかもしれませんが、その美徳をエサに増幅していったのがハラスメント上司ではないでしょうか。
目次
どうせやるなら徹底的に準備する
パワハラ、モラハラ、セクハラは証拠が命。
パワハラ上司の気まぐれで有給が取れないなら、水面下でコツコツと反撃の準備です。
ハラスメントを平気でやる人間の情に訴えても無駄なので、合法的な手段で容赦なく相手を動かすことを目標にしましょう。
実際に裁判までやるかどうかは別として、裁判に持ち込んだ場合にも使えそうな証拠は、なんでもいいのでとっておいてください。
日時とハラスメントの内容をメモにとっておくだけで証拠になります。
録音ができればなおいいですね。
上司の前で堂々と録音スイッチをオンするわけにもいかないでしょうから、もしもに備えて小型のボイスレコーダーを持っておくと安心です。
ボールペン型のボイスレコーダーを胸ポケットに忍ばせるなんてどうでしょうか。
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「小型ボイスレコーダー」で検索してみるといろいろ出てきます。
誰かに相談する前にやっておくべきこと
相談の前に、「いつ、どこで、誰が、何を、どのようにしたか」をわかりやすく説明できるよう要点を書き出し、メールや音声などの証拠をまとめておきましょう。
パワハラによるストレスが原因で体調を崩しているなら、病院にかかって診断書をもらってください。
会社に相談するつもりならば、相談する前にしっかりと証拠を固め、口止めされる前に第三者に相談しておくことが後々効いてきます。
ブラックな企業だと、パワハラの事実を確認するなりエゲツないもみ消し工作に走る可能性があります。
ストレスで心が疲弊しきっているどさくさにまぎれ、「パワハラで会社を辞めたことは口外しない」という謎の念書に会社でサインをさせられ、結局泣き寝入りしてしまった人を知っています。
要するに、パワハラの事実が社外に漏れて評判を落とすのが企業は怖いのです。
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相談先は慎重に選択する
社内にきちんと機能しているコンプライアンス窓口があるなら、まずはそこに相談してみるのもいいでしょう。
コンプライアンス対策が機能していないなら、会社には気づかれないように動きましょう。
同僚に相談するのもアリですが、信頼できる相手かどうかしっかりと見極めることがなにより重要です。
家族か社外の信頼できる人に相談したほうが、ひとまず安全かもしれません。
外部の相談先としては次のようなものがあります
状況に応じた具体的なアドバイスを受けることができます。
1. こころの耳
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「こころの耳」は、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトです。
「こころの耳電話相談」、「こころの耳メール相談」をはじめ、「労働条件相談ほっとライン」「法テラス」など、カウンセリング的要素の濃いものから法律面のアドバイスを受けられるものまで、さまざまな相談先が紹介されています。
2. NPO法人労働組合 作ろう!入ろう!相談センター(旧 NPO法人労働相談センター)
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「NPO法人労働組合 作ろう!入ろう!相談センター」は、労働組合を作るもしくは入ることによって問題解決を図る団体です。
電話でもメールでも相談が可能。
労働に関するさまざまな情報がわかるサイトです。
3. 法務省 みんなの人権110番
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「みんなの人権110番」は、労働問題だけでなく、人権問題に関する幅広い相談を受けている国の相談窓口です。
電話やメールだけでなく、窓口での相談にも応じています。
4. ハラスメント代理通知サービス「ソレハラ」
最初に申し添えておくと、「人によっては便利かもしれないサービス」のご紹介です。
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「ソレハラ」は、ハラスメント行為をしている人に対して「ソレ、ハラスメントだよ~」というような匿名メールが送れるちょっと珍しいサービスです。
これでハラスメントがすぐなくなるとは思えませんが、対象者の心をザワつかせるぐらいの効果はあるように思います。
「ハラスメント行為をしている人のメールアドレスを知っている職場の人が多く、周囲がハラスメントに気づける状況」なら、利用してみるのもひとつの手だと思います。
理不尽な社会の常識はもういらない
生活を守るためには、心身共に健康で働ける労働環境が必要です。
上の者にゴマをすり、下の者に不当な圧力を加える弱い人間に権限を与える会社も会社ですが、会社が個人の悪事に気づいていないだけならぜひ伝えたいものです。
「根性で乗り越えろ」
「有給が取れないなんてどこも同じ」
「新人が有給取るなんて生意気」
「昔からみんなこう」
という声も聞こえてきますが、そういう「変な社会の常識」はそろそろぶっ壊れたほうがいいと思います。
とはいえ、労働環境を変えるために労働者ができることには限界があります。
高須クリニックの院長は、ハラスメントがあれば直接自分に伝えるよう社員に指示しているそうです。
高須病院新入社員訓示。パワハラ、セクハラ、モラハラは直接僕にメールくれるか僕しか開けられない目安箱に投書するよう教育。
みんなに信頼される理事長になりたいなう。 pic.twitter.com/bcyeblqM3E— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2018年4月23日
良心ある経営者が、これに続いてくれることをひたすら願うばかりです。(執筆者:木山 由貴)