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確定拠出年金の大きな特徴

確定拠出年金は運用商品を「自分」で選択しなければいけないのが大きな特徴です。
掛金が課税対象外となり、運用益も非課税という優遇税制を活用して老後資金が準備できる点に興味はあっても、「自分」で商品を選ぶとなると難しいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし確定拠出年金の商品選びは実はポイントさえつかめば簡単です。
今回は、そんな確定拠出年金の失敗しない商品の選び方について解説させていただきます。
ステップ1:自身の運用目標を決める
確定拠出年金で運用に失敗しないためには、具体的な商品選びの前に行う作業があります。
それは
・ そのためにはどの程度の運用利回りを目指さなければいけないのか?
を決める作業です。
例)ある企業の30歳の社員、確定拠出年金の年間の積立上限額が27.6万円
30年間27.6万円を積み立てたとすると投資元本は828万円です。
60歳時点の預金残高3,000万円を目標にしたい場合に確定拠出年金以外の60歳時点で想定される資金残高が1,500万円とします。
そこで預金残高3,000万円を達成するためには確定拠出年金の投資元本828万円を1,500万円に殖やす必要があります。
投資元本828万円を30年間で1,500万円に殖やすためには年利3.4%ほどの運用目標達成が必要です。
60歳時点で想定される資金残高が2,000万円とすると年利1.3%の運用ができれば目標達成です。
確定拠出年金でいくら積立金に回せるのか?
いくらためたいのかは皆さんの家計状況や資産状況により違います。
ただ、年利3.4%や1.3%といった明確な目標がないままでは運用商品は選べないのです。
運用目標によって選ぶべき運用商品は違ってくるからです。
運用目標が3.4%であれば3.4%を目指せる運用商品、1.3%であれば1.3%を目指すに適した運用商品を選びます。

ステップ2:運用目標を目指すためのアセット・アロケーション(資産配分)を決める
運用目標が決まって、まだ個別の運用商品を決める段階ではありません。
次はアセット・アロケーション(資産配分)を決めます。
アセット・アロケーションとは投資分野、例えば株式と債券に半分ずつに配分して投資をするということを決めることです。
例えばモーニングスターというサイトがありこちらでは、過去の実績から判断した、運用目標に合わせたアセット・アロケーションを確認できます。
投資の最終的な成果は、アセット・アロケーションの決定で8割型決まる
極端に言えば、株式と債券に半分ずつというアセット・アロケーションが決まれば、具体的な商品選びはさほど問題ではないということです。
アセット・アロケーションに重きを置くことは失敗しない商品選びの重要な準備作業です。
しかし具体的な商品選びはさほど問題ではないとお伝えしましたが、それぞれの資産で効率よく良い成果を出してくれそうな商品を選ぶ作業も大切です。
ステップ3:分散投資でリスク回避
運用目標を目指すための資産配分も決まりました。
この段階でやっと、具体的な運用商品選びに入ります。
具体的商品を選ぶポイントは3つです。
1. 各資産とも信託報酬の低い「低コストのインデックス型」から選ぶ。
2. 「目論見書」等で投資信託の中身を見て、何に投資しているのかを確認する。
3. 「投資銘柄数が多いもの」を優先して選ぶ。
より多くの資産に分散投資することで、リスクを抑えながら、ある程度のリターンも確保できる効果があるといわれています。
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ステップ4:商品を選んだら終わりではない
運用商品は1度決めたら終わりではなく、運用効率を高めるためにも、半年や、1年毎といった定期的なタイミングでリバランスというひと手間をかけてください。
リバランスとはスタート時の資産配分に戻すことを言います。
株式50%、債券50%と配分して運用をスタートした場合、1年経過後に株式80%、債券20%と資産配分が変化していたら、株式30%分を売却し利益を確定させ、債券を30%分追加購入してスタート時の配分に戻します。
このリバランスも、リスクを下げ運用効率を高める効果が期待できますので実行してください。
確定拠出年金ではいつでも無料でリバランスができる仕組みとなっています。(執筆者:寺野 裕子)