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多重債務の相談から見えた特徴

多額の借金を抱えている人の相談を長年受けていると、ある特徴が見えてきます。
例えば「車」。
20代30代で、お金がないのに、高級車に乗りたがり、貯蓄もできず借金だけが増えていく若者が必ず一定数存在します。
特に地方になればなるほど車は生活必需品となり、車に対するコストは高くなります。
車は普通の人が「見栄」を張りやすい
その理由は、
1. 豊かさが他人に伝わりやすい
2. ローンが組みやすい
という2点が挙げられます。
特にアルファードやエルグランドといった大柄で背の高いミニバンが人気ですが、400万円以上する車なので、20代~30代前半では自分の年収より高いということも少なくありません。
それでも、ローンさえ通れば、高級車でも比較的買いやすく、簡単に「高級車に乗っている格好良い自分」を他人に見せることができます。
それが故に、身の丈以上の車を買ってしまい、車にかかるコストがかさみ家計を圧迫させてしまいます。
今回はそのような「車」について、多重債務に陥りやすい人の特徴についてお伝えしていきます。
特徴1:車両価格が高く、ローンの金利負担が重い
車両価格が高いので、ローンで買っても毎月の支払は高額になります。
さらに多重債務に陥る人の多くは「貯蓄」の習慣がないため、「頭金」を出すことができず、諸経費も含め、全額ローンで買う事になり、当然、金利分の支出が増えてしまいます。
また、金利の比較をせずに借りやすい金融機関からお金を借りるため、高金利でローンを組むことになりがちです。

特徴2:高級車が故にランニングコストが高い
高級車は車両本体価格だけではなく「部品」も高くなります。
タイヤやオイル交換、部品交換などが「高級」なので、修理や車検も高額になってしまい、車を維持するのにもお金がかかってしまいます。
例え、中古で買ったから車両代は安かったとしても部品代が高いのはか変わりません。
特徴3:車の寿命が短い
お金がなければ、メンテナンスにお金をかけることができません。
とくに中古で買えばメンテナンスにはお金がかかります。
結果的に車の傷みが早く、事故にもつながりかねないので、車の寿命が短くなり、車のローンが終わらないうちに廃車になる可能性が普通の人より高くなります。
特徴4:見た目重視で省エネ性を無視する
車の多くは、見た目と省エネ性が反比例しがちです。
省エネ性を無視すれば、当然ながら燃費は悪く、ガソリン代は高くなります。
特徴5:自動車保険が高い
年齢が若かったり、事故が多いと自動車保険は高くなります。
さらに高級車にはやはり車両保険を付けたくなるものですが、車両価格が高いため、当然保険料も高くなります。
車の生涯コストは4,000万円以上

車にかかるコストが家計にどれだけ大きな負担になるのか、計算せずに買ってしまうと、上記の5つが負のスパイラルとして働き、ますます家計が苦しくなります。
20代から70代まで車を保有する場合、10年ごとに買替えすると仮定しても、200万円の普通車でも車に対する生涯コストは3,000万円ほどかかります。
これが300万円~400万円の車になれば4,000万円以上かかります。
車を買う場合は、最初にかかる車両代と諸経費以外にも、以下のようなランニングコストを計算し、それでも支払えるかを確認する必要があります。
・毎月かかる自動車保険料とガソリン代
・毎年かかる自動車税
・数年おきの車検代、定期的に必要になるオイル交換代、タイヤ交換、部品交換
・他にも駐車場代、有料道路・高速代等
事故リスクも高くなる
格好良い車に乗っても
・ メンテナンスにお金を掛けない
・ 自動車保険は滞納が続き失効になる
といった事になれば、事故に遭った時には大きな損害と賠償金請求といったリスクを常に秘めることになります。
見栄はコストなり

「車」が多重債務のひとつの要因になっている事に気付いても、車のグレードを下げたり手離すことができないのは、「貧しさ」が他人にばれてしまい格好悪いと思うからです。
本来、車の値段とその人の価値は一致しません。
むしろ、自分に自信がないからこそ、「車」という目に見えるもので「豊かさ」を表現しようとするのではないでしょうか。
このような考え方でいる以上、今後、自己破産や任意整理で借金を清算したとしても、ローンが組めるようになってから、同じ失敗を繰り返してしまうでしょう。
「見栄はコストなり」です。
この機会に車だけでなく、
をあらためて見直してみるといいでしょう。(執筆者:二宮 清子)