郊外と都心部で明暗分かれているものの、東京都内や東京近郊エリアでは現在も地価は上昇傾向にあります。
プチバブルとも言えるこの状態ですが、不動産価格の高騰はいつまで続くのでしょうか。
不動産価格の下落に影響してくる3つの要素をここでお伝えします。

目次
(1) 銀行の融資審査が厳しくなっている
2017年後半から、銀行の投資用ローンに関する審査が厳しくなっております。
特に2018年に入り、不動産業界を超えて大きな問題になっているスルガ銀行の融資問題、そして空きに発覚したTATERUと西京銀行の融資問題など、銀行の投資家の状況を改ざんしての無理のある融資が、不動産投資の加熱を招いていました。
他の金融機関も、この状況を傍観しながらも投資用ローンの過剰な融資に問題があったとして、現在は投資用ローンに対する融資をしぼりつつあります。
住宅ローンの融資に関しては、大きな変化ありませんが、個人への投資用ローンは融資審査が厳しくなっています。
不動産物件の購入に関しては、本人の収入と、同時に担保となる不動産物件の価値が厳しく審査されるようになっています。
そのため不動産を購入できる人が減っており、購入者の減少に伴って、需要と供給のバランスが崩れていき、不動産価格の下落していく可能性があるのです。
(2) 観光客需要の受け皿が一段落する
現在の都心での不動産投資ブームを招いた一因に、増加する観光客の受け皿となる物件の建築があります。
ホテルなどの宿泊施設はもちろんのこと、観光客をターゲットにした売店、飲食店そしてマンションや民家を購入し、民泊物件として運営する個人投資家の観光客向け不動産投資が、人気を呼んでいたのです。
しかし、これらの観光客向け不動産投資も現在一段落ついております。
観光客の受け皿となるホテルなどの建築が一段落し、民泊投資に関しては新民泊新法の施行により、収益性に制限がかけられました。
そのため個人投資家は民泊運営から撤退しつつあります。
不動産投資がこれまでほどの勢いで伸びていくことは考えにくくなっています。
(3) 2022年の生産緑地問題

2022年には都内の生産緑地問題が表面化します。
この生産緑地問題とは、これまで農地として利用されていた生産緑地が、法の施行から30年を経過し、固定資産税の優遇措置がなくなるというものです。
そのため空き地ではなく、住宅地として転用しないと、多くの税金が課税されてしまいます。
生産緑地を住宅地に転用すると、都心部での住宅用地が一気に増え、戸建住宅の価格が下落することが予測されています。
もともと生産緑地は駅から離れた場所に多く、それほど立地の良い場所にはありませんが、それでも戸建住宅の価格には大きな影響を及ぼすでしょう。
これらの要素が相まって、一部の都心を除いた場所では202年頃から不動産価格の下落が置きてもおかしくない。そんな予想が立てられています。(執筆者:長嶋 茂)