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「日経平均株価」とは

日本を代表する株価指数です。
日本の株式市場の動向を把握するために、多くの人がニュースで確認しています。
しかし、実際には日経平均株価が、日本の株式市場を正確に反映しているとは言えません。
今回は、株式市場の活況度を見誤ることを防ぐため、日本の株式市場が正確に反映されない日経平均株価のカラクリについて紹介します。
1社で100円上がる日経平均株価
日経平均株価は、日本の優良企業225社から算出された株価指数です。
225銘柄で構成されていると聞くと、1社の株価の動向だけでは、ほとんど影響がなさそうに感じます。
しかし、現実は1社だけで日経平均株価を100円上げることも可能です。
日本を代表する224銘柄が前日比変わらずで、1社だけで日経平均を100円押し上げて、
とニュースで言われても違和感があります。
でも、この言葉を多くの人が信じているのが現実です。
どうしてこんなことになるのか?
日経平均株価の計算方法が原因です。
ここでは詳しい計算方法は割愛しますが、時価総額をもとに計算されるTOPIXとは違い、独自の計算方法を行っているため、このようなことが起こってしまいます。
傾向としては、値嵩株(1株当たりの株価が大きい銘柄)の影響を大きく受けます。
日経平均への寄与度の高い銘柄と低い銘柄では、あまりにも大きな違いがあるのが現状です。
寄与度の高い銘柄と低い銘柄

具体的に寄与度の高い銘柄と低い銘柄を紹介します。
寄与度の高い銘柄の代表格は、ユニクロやGUを運営しているファーストリテイリングです。
なんとこの1社で日経平均株価全体の9%以上の影響力があります。
その他にも、
・ ファナック
・ KDDI
・ ユニーファミリーマートHD
などが大きな影響力を持っています。
紹介した5社のみで、日経平均株価の構成比率は20%前半になります。
その一方で、
・ 東電
・ ヤフー
・ NTTドコモ
などは、大企業にもかかわらず日経平均への影響力は全くありません。
この4社をあわせた日経平均株価の構成比率は0.1%程度です。
このように日経平均株価は、日本を代表する225銘柄の実情を正確に反映していません。
インデックス投資の恩恵
昨今では多くの機関投資家がインデックス投資を行っています。
インデックス投資は、日経平均に連動させなければなりません。
そのため、割高だろうが業績が悪かろうが、寄与度の高い銘柄を購入せざるをえません。
市場平均を上回ることを目的にしているアクティブ投資型の機関投資家も、日経平均寄与度が高い優良銘柄を避けることはできません。日経平均に負けないためにも…
このような事実を知っていれば、日経平均株価に影響力のある優良銘柄に投資する機関投資家に相乗りしたり、割高だからと空売りをして失敗することを防げます。
日経平均株価に影響力のある銘柄には、多くの恩恵があることを覚えておきましょう。
ただ、日経平均が暴落するときに大きな影響を受けることは避けられないことも忘れてはいけません。
正確に市場の強さを把握できる
日経平均株価のカラクリを知っていれば、市場全体の強さを見誤ることを防げます。
簡単な方法としては、
・ 必ずTOPIXの騰落率とセットで確認
・ その日寄与度の高い銘柄がどの程度影響を与えたかを把握

この事実を知っていれば、知らない人より若干有利に株式投資を行うことができます。
ぜひ、市場全体の強さを把握する際に参考にしてみてください。(執筆者:三田 亮)