子どもの大学進学費用を定期預金、学資保険やジュニアNISAなどを活用して計画的に準備している家庭が多いのではないでしょうか。
しかし、現在は入試にも多様性が広がっており、子どもの大学入学費用は高3の夏くらいまでに貯めておくほうがよさそうです。
その3つの理由を説明しましょう。
目次
1. 夏頃から出願、入試が始まる受験方法がある

大学受験には
・ 一般入試
・ AO入試
・ 推薦入試
の3種類の方法があります。
出願時期や受験時期、合格発表から入学金や前期授業料などを納入する時期はそれぞれ異なります。
一般入試
一般入試は2月、3月に行われることが多いので、受験費用は冬までに準備すればよく、入学費用は2月、3月でもギリギリ間に合います。
AO入試
AO入試は8月1日から出願が始まりますが、出願時期、受験日、入学金納付時期はバラバラです。
2019年度の国立大学のAO入試合格者は2月19日までに入学資金を支払わなければなりません。
また、私立大学のAO入試では秋の合格発表後、すぐに入学資金の納付が必要になる大学もあります。
推薦入試
推薦入試は秋以降に順次実施されますが、私立大学では11月、12月の合格発表後に入学金の支払いが必要になるケースがあります。
なお、国公立大学は10月に出願が開始になり、11月1日以降に試験が行われます。
合格すれば翌年の2月19日までに入学資金を納付すればよいので、日程を押さえておくとよいでしょう。

2. 学資保険、ジュニアNISAは受け取り時期の要確認
子どもの受験費用や入学費用をコツコツと積み立てている人も注意が必要です。
いつでも出金ができる預貯金とは異なり、学資保険やジュニアNISAは受け取り時期が決まっています。

学資保険
例えば、学資保険の満期を2月や3月に設定すると、秋の推薦入試やAO入試に合格しても入学資金の納付期限に間に合わない可能性もあります。
契約内容をよく確認しておきましょう。
ジュニアNISA
一方、ジュニアNISAは子どもが3月31日時点で18 歳である年の1月1日以降から売却が始められます。
18歳の誕生日を迎え、秋口に私立大学入学が決まっていても、ジュニアNISAで解約した商品を入学費用には充てられず、別の方法で入学資金を準備しなければならないということです。
また、早生まれの人は高校3年生の1月日時点ではまだ17歳ですから、実際にジュニアNISAを売却できるのは翌年の1月1日以降になります。
子どもの大学進学に備えて売却を検討している人はこの仕組みをよく理解しておきましょう。
3. 奨学金は大学入学後からしか受け取れない

大学入学後に奨学金を受け取る人も注意が必要です。
高校3年生なって学校で奨学金の申し込みを行い、受験シーズンには奨学金を受け取れることが決まっている人もいるはずです。
しかし、あくまでも奨学金を受け取れるのは大学入学後です。
進学する大学が決まっていない段階から奨学金を受けることはできませんから、受験費用や入学費用は別の手で確保する必要があります。
高3秋までにいくら準備すればゆとりが持てるのか
上記の3つの理由から、大学入試にあたり高校3年生の夏頃までに受験費用や入学費用を貯めておくほうが良いと分かります。
目安を知っておきましょう。

日本生活金融公庫が2018年2月に発表した「平成29年度 教育費負担の実態調査結果」によれば大学入学にかかる大学納付金、受験費用、入学しなかった学校への納付金合計は平均85万2,000円です。
内訳を見ると、
・ 国公立大学が69万2,000円
・ 私立大学文系が92万9,000円
・ 私立大学理系が87万円
だと分かります。
大学入学にあわせて下宿を始める子どもに対してかかる費用(アパートの敷金、家財道具の購入費)は平均37万5,000円で 、入学費用とあわせると1人あたり平均116万6,000円だそうです。
貯めておきたい金額は国立・私立、文系・理系で異なるものの、子どもの進学先にあわせて早めの対策が必要です。
大学入学費用を貯められない場合の対処方法

家計の状況で入学費用を貯められない場合は別の方法で資金を用立てなければなりません。
以下の方法を考えてみましょう。
日本政策金融公庫の教育一般貸付
日本政策金融公庫の教育一般貸付を検討し、子どもの大学合格に合わせて審査に申し込んでも、入学資金の納付期限に間に合わないケースもありますから、審査だけでも早めに進めておいたほうがよいでしょう。
ろうきんの入学金融史制度(条件あり)
日本政策金融公庫の教育一般貸付の融資を受けられなかった家庭のうち、日本学生支援機構の奨学金の対象となる大学に進学することが決まってるなら全国労働金庫(ろうきん)に相談してみましょう。
日本学生支援機構奨学生に対する入学金融資制度がありますので、申込みを行って審査が降りれば最高74万円まで貸付を受けられます。
銀行の学資ローン
最後に銀行の学資ローンを検討しましょう。
審査の日数や金利は銀行によって異なるものの、資金使途が幅広い銀行もあります。
学資ローンの審査を早めに行っておくと、入学金が必要になっても安心です。
親戚に頼む
最後に親戚に一時的に借り入れをするのも一案です。
子どもの大学入学後に少しずつ返済していくことも検討してください。
子どもが奨学金をもらいながら大学に通うケースでは、アルバイトで生活費を稼ぎ、奨学金が学費に回る場合もあるかもしれません。
毎月の家計からいくら返済できるかを確認しましょう。
子どもの大学入学費用は早めに準備を
子どもの大学入学費用は高校3年生の夏頃を目安に貯めておくほうが良いことが分かりました。
どうしても準備できない場合は、今回お伝えした手段を使っても構いません。
しかし、借り入れをすれば後々返済が必要です。
家族でよく相談し、子どもの大学費用をどうするか、よく考えて早めに準備を始めることが重要です。(執筆者:戸並 あさひ)