昨年12月19日に上場した誰もが知る大手通信会社のソフトバンク。
その知名度と配当の高さ、資金調達の大きさから大変注目されていましたが、結果は公募価格を割ってのスタートでした。
配当狙いのセカンダリーの投資家としてはチャンスとも言える状況で、虎視眈々と価格推移を見守っている方も多いでしょう。
しかし、今後も高配当を維持することはできるのでしょうか?
そこで今回は高配当狙いでソフトバンクに投資する際の注意点を紹介します。

目次
配当性向の高さがあだになる
ソフトバンクは配当性向85%を目途に投資家に還元すると大々的にアピールしていますが、この高い配当性向が逆にあだとなる可能性を秘めています。
親会社のソフトバンクグループが莫大なキャッシュを配当で吸い上げたいことは確かですが、そもそも利益を出さなければ配当を維持することはできません。
15%程度しか内部留保できないことを考えれば、何か突発的なことが起こらないとしても、ジリ貧になる可能性は十分に考えられます。
同業のKDDIやドコモの配当性向が50%にも届いていない状況を考えれば、いくら安定的なキャッシュが見込める通信大手でも、長期にわたって現在の配当を維持することは簡単なことではありません。
そもそも国内通信事業は成長が難しい

親会社のソフトバンクグループへの献上(配当)にあやかる戦略はある意味正しいといえますが、先程述べたように利益が上がらなければどうにもなりません。
そもそも、現在の利益の源泉である国内通信事業は、今後大きな成長は見込めません。
・5G関連の設備投資やファーウェイ問題による上乗せ分
・楽天参入による市場激化
・政府からの値下げ圧力
・スマホが十分に普及していることや今後の日本の人口減少
これらのことは誰もが知る当たり前のことですが、配当狙いの投資家の多くが見て見ぬふりをしているのではないでしょうか?
親会社の財布でありつづける重要な役割

これらのことを考えれば、国内通信事業以外に活路を見出す必要があります。
そのためにも適切な投資が必要になりますが、親会社のソフトバンクグループのことを考えると、積極的な投資を進めることは考えにくいです。
親会社としては、なるべく長い間キャッシュカウであり続けてくれることを望んでおり、それすらも難しいと思ったからこそ、今回多くの持ち株を市場で換金する決断をしました。
親会社としては、国内通信事業はアガリなのです。
ドコモやKDDIが生き残るために血眼で新しい道を切り開こうと投資をする中、ソフトバンクは口では大きなことは言うものの、実際のところ最後の一滴まで親会社に搾り取られる重要な役割をまっとうするでしょう。
下手な投資をするぐらいなら、現金を献上しろというわけです。
そもそも、新しい市場に投資をするのは、親会社運営のビジョンファンドの役割です。決して、子会社通信大手のソフトバンクではありません。
新しい市場への投資の成功と、キャッシュカウの両方の恩恵を得たいのなら、子会社ではなく親会社のソフトバンクグループに投資をするほうが無難です。
まとめ:高配当に目がくらんで一極集中は避けるべき
ここまで耳障りの悪いことを述べてきましたが、公募価格割れでソフトバンクに投資をすれば、しばらくの間は高配当を実現できるはずです。親会社もそれを望んでいます。
ただ、それは自分が購入した株価を元に計算したものであり、今後株価が下がれば受取配当分以上の損失がでる可能性も十分に考えられます。
ソフトバンクへの投資を検討している方は、その点も十分に考慮して一極集中投資は避けたほうが無難でしょう。(執筆者:三田 亮)