2019年3月までに施行される予定のBrexit(ブレクジット)に向けて、イギリスでは政治やお金など様々な混乱を招いています。
今回は日本から見るBrexitの実際と、日本人が準備しておくBrexit対策を紹介したいと思います。
目次
Brexit(ブレグジット)とは

2016年にイギリスではイギリスがEUから脱退するかどうかの国民投票が行われました。
当初大多数の人が残留を予想していた国民投票でしたが、投票権のある低所得者層が移民の排除に向けて脱退を支持したことや、テレビなどのマスメディアによる情報の混乱により高齢世代の投票も脱退の方に傾きました。
若い世代の投票数が少なかったことなどが原因で、投票は離脱派が52パーセント、残留派が48パーセントとかなりの僅差でしたが最終的にイギリスはEUを離脱することに決まってしまいました。
イギリスにとっては想定外の決定で、国民全体がその投票結果に驚きました。
これをBritain(イギリス)とexit(退出する)を組み合わせた造語でBrexit(ブレグジット)と呼ばれています。
Brexitは2019年の3月29日の午後11時に施行すると決められていて、これまでイギリスが Brexitを施行するためのEUに対する清算金や、移民問題、イギリス国内の国境についても問題が議論されています。
その期日が近づいてきている今、イギリスではいまだ具体的に決まっていないBrexitの方向性で混乱を招いています。
Brexitに伴うお金の価値と変化

イギリスポンドはユーロと比較してもその価値が高く、イギリス全体が不景気と言えどその他ヨーロッパ諸国よりも「稼げる国」とされています。
EU諸国内はビザなしで渡航が許可されていて、そのため自国で働くよりもイギリスに来て働いた方が同じ労働力でも高収入を得ることができると、イギリスにはその他EU諸国から多くの移民が出稼ぎに来ています。
イギリスはBrexitによって移民を排除することによって、イギリス国民の雇用状況を改善することができると予測されていますが、一方で移民が支払っていた税金も少なくなるため、イギリス国民一人一人の税金負担は高くなると予測されています。
イギリス内の多くのビジネスは今だに移民によって支えられているのですが、その状態をBrexitによって崩すとなると、イギリスポンドの価値の低下、それに伴いユーロの価値の低下も予測されます。
このポンド安の動きを予測して、イギリス内では価値が変わらないであろうとされる不動産の価格が高騰していて、ロンドンやマンチェスターなどの都市部では、特に家賃の引き上げなどが問題となっています。
現在イギリスに5年以上滞在している人はイギリスの定住資格を申請することができるとされていて、定住資格が与えられればイギリス国民同様の教育や仕事、居住、福祉が提供されるとされていますが、それ以下の滞在年数の人はビザの申請が必要になるなど、今後も不安定な状態となります。
反対にEU諸国に働きに出ているイギリス国民も、EU国内で働くためにはEUの決定に従ってビザの申請等を行う必要が出てきます。
Brexitに伴って準備しておくべきこと

Brexitが日本に与える予測される影響の1つは、円高ポンド安の状態です。
ポンド対日本円のレートは不安定な状態で、2018年から2019年にかけても変動を続けていますが、Brexitがより具体的に施行されるとなると、レートや株価が急激に大きな変動を起こす可能性もあります。
ワーキングホリデーでイギリスに来ていてポンドで稼いでいるという人や、輸入品販売やイギリスを拠点にビジネスを展開している人など、イギリスポンドと日本円と取引する可能性がある場合は今後のBrexitの動きに要注意です。
Brexitから学べること
Brexitは若者の政治離れが1つの原因だったとも言われています。
しかし現在のイギリスではBrexitの影響を受けて国民一人一人が投票することで国の方向性が変わり、政治や経済も大きく動くという認識があります。
政治に関心が高い若者も多く、政治について知識があることを「カッコいいこと」と捉える傾向もあります。
日本でもイギリスと同様に若者の政治離れがあり、投票権があっても投票に参加しないという人もいますが、日本もイギリスの二の舞にならないように感心を高めていくべきではないかと思います。
まとめ
日本にいたとき、私はまさに平和ボケ状態で政治に感心が低い方でした。
しかしイギリスに来てから経済やテロなど、社会的情勢が自分の身に直接降りかかることも多く、知らないままでは済まされないといった状況にも直面しました。
友達同士でも政治の話になることも多く、情報を自ら探して、社会を作っていくという姿勢は学ばなくてはいけないと感じます。(執筆者:森 亜美)