相続に関する相談は、最近特に増えています。
「 相続税の心配をかけたくない。」
といった相続する側(被相続人となる側)からの相談が多いのはもちろん、
「兄弟間でもめたくないので今からやることはなにか?」
など、相続する側からの相談も多いです。
そんな中で、最も簡単で効果が高い5つの方法をご紹介したいと思います。
目次
相続対策って?

まず、相続対策は大きく分けると3つに分類されます。
「節税対策」…相続税を軽減する
「納税資金対策」…相続人に相続税が発生した際にその支払の原資を作っておく
相続対策は、
・簡単で(誰でも、自分で、シンプルに)
・長続きする(世の中の環境や税制改正等に左右されにくい)
ことが重要です。
これらを重視しながらお話していきたいと思います。
相続対策の5つの方法

1. 遺言(分割対策)
はじめに分割対策として「遺言」があります。
「いごん」といったり「ゆいごん」と言ったりしますが、一般的には「ゆいごん」という方が多いかもしれません。
ここでは、自分でできる「自筆証書遺言」の形式のお話をしていきたいと思います。
簡単に言うと「自分で書く遺言」です。
他にも「公正証書遺言」や「秘密証書遺言」などありますが、承認が必要だったり、手間と時間とお金がかかりますので、今回は触れません。
遺言の強みは、「特定の相続財産を、特定の相続人に、相続させる旨」を記載すると、遺言と異なる遺産分割をすることができなくなるということでしょう。
つまり、特定の相続財産を特定の相続人に相続させるという意思を明確にしてあれば、相続人同士でもめることがなくなるのです。
遺言は何回でも書き換えることができます。
書き換えると後から書いたものが優先されます。
ですが、注意点もあります。
この意思表示を紙にしたためても「この遺言は効力がありません」という事態になる可能性もあるのです。
例えば、遺留分を侵害してしまっている場合や日付が記載されていない、自署がない…などいろんな注意点がありますので、不安な場合は専門家に確認したほうがいいです。
「遺留分」とは
「遺留分」とは、相続人が相続できる最低の権利みたいなもので、受け取るべき相続財産よりも少なかった場合に、「遺留分減殺請求」という請求を多く財産を受け継いだ人に請求することができる制度です。
ですが、「遺留分」という言葉を親族間で使い始めた時点で、もう相続がスムーズではない気もします。
親族間で権利を主張するときに、「法律」を持ち出し始めたら、もう穏やかな相続ではないでしょう。
そのため、2つめの方法も分割対策には効果的と言われています。
2. 生命保険金は受取人だけのもの

2つめの方法は、生命保険です。
相続は被相続人の死亡によって発生します。
生命保険の契約には、契約者、被保険者、受取人という3人の登場人物がおります。
分割をスムーズにするための対策として、生命保険は活用しやすいです。
契約形態は、
被保険者:被相続人
受取人:相続人
この場合の生命保険商品は「死亡保険」であり、人はいつ死ぬかわかりませんので「終身保険」という種類の保険に加入することが多いです。
体況的な問題で生命保険に加入できない方は、「年金保険」や「引受基準緩和型の生命保険」に加入することができます。
このメリットは、受取人を指定したら、必ずその受取人のもとに保険金が支払われるということです。
遺産分割をする際には、協議(話し合い)が持たれることがほとんどですが、その協議のテーブルに生命保険金が登場することはありません。
生命保険金は受取人固有の財産だからです。
複数の受取人がいる場合には割合まで、契約者が自由に指定することができます。
Aさんは80%、Bさんは20%とすることも可能です。
また、人を指定せず、法定相続分としておくことも可能です。
なるべく誰に、どれだけの割合、というところまで指定しておいたほうがいいとは思います。
預金と比較しますと、預金は他の遺産と合算して分割することになるのに対して、生命保険は生命保険金のみで分割できます。
これもメリットと言えばメリットと言えるでしょう。
だからよく預金は凍結されて使えないから困る…なんていう話になるのです。
では次に、「節税対策」について見ていきましょう。
3. 非課税枠を使う(節税対策)
2つめに続いて、生命保険の非課税枠のお話です。
現金・株式・投資信託などの金融商品は、相続において非課税枠は基本的にはないですが、生命保険金にだけはあります。
どれくらい非課税枠があるのかというと、
この分の生命保険金に関しては、非課税になります。
例えば、相続人が配偶者とお子さん3人の合計4人いたとします。
が生命保険の非課税枠となります。
では、2,000万円を現金で持っていた場合はどうでしょうか。
現金2,000万円は相続財産となり、課税対象となってしまいます。
しかし、2,000万円を一時払い年金保険(死亡保障額は払込金額)に預けた場合は、非課税となるわけです。
4. 生前贈与(節税対策)
節税対策の方法は(非課税枠を使う場合は別として)大きく分けると「相続財産の評価を下げる方法」と「相続財産を減らす方法」です。
生前贈与は、資産を生前に移転することです。
よく言われるのが、暦年贈与です。
非課税枠があって、年間110万円までは非課税という情報は皆さんよくご存知のように思います。
仮に年間100万円前後の贈与を10年ほどできると1,000万円移転することができます。
そうなりますと、相続財産が減っていますので、相続税は軽減されます。
また、この贈与に関しては、相続人でない「お孫さん」などにもすることができますので、渡せる人の幅も広いですね。
ちなみに、生命保険金も受取人をお孫さんにすることは可能です。
ただ、注意点もあります。
聞いたことがあるかもしれませんが、「名義預金」は「それただの相続税逃れじゃないの?」と疑われやすいので、きちんとした贈与の流れと手続きに沿って実践することが重要です。
ちなみに「名義預金」とは、贈与したお孫さんの通帳を贈与するおじいちゃんが管理しているみたいなものです。
これが贈与として認められず、相続時にその分が相続財産に加算されてしまうことがあります。
意味がないという話です。
贈与契約書を作るなどの手続きのステップを踏むことはとても大切なことだと思います。
では、最後に、相続税の納税資金の作り方について見ていきます。
5. 生命保険の活用(相続税納税資金対策)
5つの方法の最後は、生命保険の活用です。
何度も出てきていますが、こんな方法もありますよ、という感じでご覧いただければと思います。
貯金しておくと行ってもなかなかうまくいくかどうかがわかりません。
投資などで増やそうと思っていたら、減ってしまった…なんていう事態もあまり嬉しいことではありません。
相続とともに相続税の支払いの原資が「ふわっ」と出てくるものなんて、そうそうありません。
アパート経営などされている方などが相続をすると、家賃分は相続税の納税資金として活用することもできるでしょうが、金額が足りない場合も多いです。
そこでまとまったお金を捻出する方法として、メリット・デメリットも人によってはありえますし、人によってさまざまですが、「生命保険の活用」を上げておきたいと思います。
まず問題の契約形態ですが、
被保険者:被相続人
受取人:相続人
仮に被相続人が亡くなって相続が開始した際には、死亡保険金を受け取ることができます。
この死亡保険金は相続とはなんの関係もありません。
契約者が相続人ですから、もともと相続人の財産です。
しかしながら生命保険は多くの場合、払込金額<死亡保険金 となるケースが多いですから、ただ銀行においておくよりも多くのお金を受け取ることもできます。
是非参考にしてみて下さい。
相続対策は十人十色

相続対策の5つの方法を説明してきました。
本来であればもっと実践レベルでお話できればよかったのですが、今回は、こういう方法があるんだということをご理解いただければと思います。
これらの方法は、しっくり来る方とそうでない方がいることも事実ですし、誰もが有効に活用できるわけでもないと思いますが、今後の相続対策を検討していく上で、その材料になれば幸いです。(執筆者:阿久津 和宏)