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お金とのつきあいは難しい
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誰もが感じていることでしょう。
お金との上手な付き合いかたは「ない」と思います。
あれば、みんながお金持ちのはずですが、現実にはそうなっていません。
銀行員生活30年の経験からの事実と法則で、世の中には
・ お金に好かれる「お金からモテる人」
・ お金に嫌われる「お金からモテない人」
が存在すると考えています。
銀行員として勤続30年、数多くのお客様と接してきて
「だからこの人は先祖代々の財産を一代で使い切ってしまったんだ」
「だからこの人の事業は成功したんだ」
と感じられる言動、考え方を持っている人にも多く出会いました。
銀行員として付き合って、その結末も知っています。
結末を知っているからこそ、事実として「お金からモテる人」、「お金からモテない人」は存在するということを、確証をもって言えます。
今回は、これまでお会いしたお客様の中から「お金からモテる人」、「お金からモテない人」の特徴についてお話します。
説教くさい、理想論などつまらない内容にならないよう、いくつか実例も交えて説明していきますので、ぜひ参考にしてください。
お金からモテる人1:謙虚な人
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この場合の「謙虚」とは、個人の言動はいうまでもなく、事業経営の姿勢も含まれます。
私の担当先でし尿処理業(いわゆる汲み取り)の社長のことばをご紹介します。
社長は「公共の福祉のため」という理想をもって、この仕事を始めたそうです。
事業は成功し、今も堅調に営業を続けています。
実際かなり儲かっていますが、理想にもとづいた経営をしているためか、そのことを決してハナにかけず、堂々としても腰が低く謙虚な人です。
地元でも尊敬を集める名士ですが、陣頭に立ってし尿処理現場に行くので、失礼ながら、お会いするとニオイは気になりました。
「自分は仕事だから慣れてるけど、クサいでしょ。申し訳ない」とこちらを気にかけてくれる人です。
お金からモテる人2:約束を守る人
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グローバル化・機械化が進む現代でも、ビジネスの基本は信用です。
信用を得るには、約束を守ることが不可欠です。
今までに私が出会った「お金にモテる人」は、皆さん約束を守る人ばかりでした。
融資審査をするときは、世間一般、あるいは業界内の評判なども考慮します。
例え業績良好でも「約束を守らない」という理由で断わる時があります。
銀行は、信用できない人には融資しません。
懇意にお付き合いしていた社長から「こいつのような人物と付き合えば、きっと銀行員として格が上がるよ」とまで言わしめた人物がいました。
業績も良く規模も十分大きい会社の経営者だったその人は、私のような一介の銀行員にへりくだる必要などない人です。
それに親子ほど年齢差がある年長者なのに、私に会うと常に敬語を使われ、立ち居振る舞いなど本当に謙虚な人でした。
ある日のこと、その人が約束の時間に遅れたことがありました。
遅れることは事前連絡があったので問題はありませんでした。
それなのに、その人は息を切らし走ってきました。
それまでに接してきた行動や言動からその行為がポーズだったとは思えませんでした。
どんな小さな約束でもしっかり守る人は、当然周りから信用されます。
業界の評判も上昇しますので
「あの社長は素晴らしい」
など、頼まなくても周りの人が勝手に宣伝してくれます。
お金からモテない人1:自分で自分をコントロールできない人
単に精神的に幼いという意味ではありません。
まずそういう人なら、銀行と取引していくことだけでなく、社会生活全般でもいろいろ支障が出てくるでしょう。
具体的には
1. 前しか見ていない人
2. 食いつぶす人
の2種類の人を意味します。
前しか見ていない人は失敗する
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客観的に見れば不可能に近い計画なのに、それを実現可能と思い込み、融資を申込んでくる人がいます。
根拠のない自信や意気込みだけでは、どれだけアピールしても銀行は融資してくれません。
「前しか見ていない人」と会うとき、私はまず落ち着いて
・ 事業の見通し
・ 今後の計画について
・ 矛盾点
・ 不明なところ
を、いちど冷静に考え直すようお願いするのです。
こうして再考をお願いすると、前しか見ていない人はもう来ません。
銀行員は、自分の経験や上司から受け継いだ多くの実例から、前しか見ていない人は失敗することを知っています。
私が先輩銀行員から教わった名言です。
なかには、しっかり考え直して戻ってこられる人もいます。
考え直した結果がたとえ不十分でも、銀行員はしっかりとアドバイスします。
人の忠告を聞ける人は、自分で自分をコントロールできる人です。
先祖代々の財産を食いつぶす
自分で自分をコントロールできない人には、浪費やギャンブル、あるいは投機好きな人が多いです。
こういう人が先祖代々の財産を「食いつぶす」ことを、銀行員は経験から知っています。
新しく融資取引を始めるときに、社長の発言からこうした兆候が見られると、どれだけ事業内容や計画が素晴らしくても、融資を断わる場合があります。
これも銀行員に伝わる教訓のひとつです。
経営者(個人事業主なら本人)が「食い潰す人」なら、銀行はつきあいません。
母親が女手一つで5店舗まで拡大させた美容院を、長男である2代目がさらに軌道に乗せ、最盛期には10店舗にして法人化させました。
各店に信用できる店長を置いて、事業も右肩上がりに成長していました。
信用できる店長に任せたので、2代目社長にはたくさんのお金とヒマな時間ができました。
そして不動産投資や美容と無関係の事業に手を出し…あとは良くある転落のシナリオです。
不慣れな不動産投資や無理な多角化経営で、借金は膨らむいっぽう事業は傾いていきました。
そして返済が困難になり、融資条件の見直し「リスケ」を受けるようになりました。
リスケをすると、銀行から新しく借りることはできません。
それでもまったく懲りず、いまだに2代目社長は新事業をもくろんで融資の相談にきますが、もちろん融資する銀行はありません。
この人は「前しか見ていない」+「食い潰す」という自分をコントロールできない人です。
何度かお会いして、人物的には愛すべきところもあります。
また夢を持つことも決して悪いことではありません。
しかし、自分で自分をコントロールできないと、自分だけでなく家族や従業員も不幸になってしまいます。
お金からモテない人2:他人を尊重できない人
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地位や名誉を持つようになると、その人の本質が問われます。
地位を得たことで他人を尊重できなくなる人がいます。
こうした人物に対しては、配下の社員など表面的には平身低頭、尊敬しているように装っているだけで、心の中では
と思っているものです。
融資取引をしている社長に、経営について銀行員としての意見を述べたところ、意見されたことが気に入らなかったらしく、こっそり私の上司に「担当を変えてくれ」といってきたそうです。
上司は気骨のある人物だったので相手を諭しましたが、最終的に支店長までを巻込んだ大騒ぎに発展してしまいました。
問題は「取引がなくなっても、行員(私)の行動を支持するべきか?」という点でした。
社長は、担当を変えないなら取引をやめるといってきました。
銀行とのつきあいが長くなると、顧客にも銀行の弱みがわかってきます。
取引がなくなること、これが銀行にとって最も痛手になります。
私は銀行員として経営に意見をしたと主張し、上司も銀行も理解してくれました。
結果的には他の銀行に移りましたが、後日経営破綻したそうです
このときに学んだ教訓
(1) 自分の信念に基づいて仕事をすることは間違っていない
(2) 自分本位な人は失敗する
特に自分本位な人は失敗する、というのはこのときの教訓からきています。
人には必ず相手がいる
相手に対して謙虚だから、相手との約束も守れます。
自分で自分をコントロールできずに、自分本位で相手を尊重できないと嫌われます。
銀行員として多くの人と出会ってきた経験から自信を持って言えます。
私が出会ったお金にモテる人はの行動は共通し、銀行員の私はその生き方に惚れていました。
みなさんも、お金から惚れられる人物を目指してみてください。(執筆者:加藤 隆二)