近年の世界株高もあって、現在は安全資産の金(ゴールド)の話題はほとんど耳にしません。
しかし近い将来、金の話題が世界を旋風するかもしれません。
今回はそんな忘れ去られた安全資産の「金の将来性」について解説していきます。

目次
忘れ去られた安全資産としての金
2013年以降は世界株高の流れもあり、世界中のマネーがリスク資産に向かいました。
そのため、安全資産の金は1,000~1,400ドル/ozのボックスで長らく調整を続けています。
2000年初頭から一時は6倍にもなった人気の金融資産は、忘れられた安全資産となり、誰からも見向きもされなくなってしまいました。
リーマンショック後の金価格推移と金上昇のきっかけ

5年以上も調整をしているため、今後金が長期上昇トレンドになるだろうと考えている投資家も当然いるでしょう。
しかし、その時期がいつなのかは誰にもわかりません。
ただ、リーマンショック後に金にマネーが集中した過去の経験則を考えれば、現在の世界株高の終わりとともに、金に火が付く可能性は十分に考えられます。
そのきっかけを作るのは、現在世界中のファンドの中でも勝ち組になっているCTA(Commodity Trading Advisor)でしょう。
CTAは、株価指数先物や為替、商品先物などの市場で、莫大な資金量を使ったトレンドフォロー戦略で「行き過ぎる相場」を作り出している張本人です。
今後行き過ぎた株価の暴落が起こり、日米の株価指数が焼け野原になってしまえば、CTAが金市場に狩場を変えることは容易に想像できます。
金の将来性

金市場の未来が明るいのはテクニカルだけではありません。
ファンダメンタルズの面でも、長期的に下記の優位性があります。
・自国通貨を信用できない中間層~富裕層の増加
・インド人の金需要
世界人口が増加するにも関わらず、地球上にある金の埋蔵量は変わりません。
自国通貨を信用できない新興国の中間層~富裕層が増加すれば、現在の金の需給バランスは大きく変化するでしょう。
特に今後世界の主役に躍り出るであろうインドでは、娘の結婚式に金を持たせたり、農家が資産を金に換えるなどの特殊な習慣があるため、インド経済が成長を続けるかぎり、今後も金需要は高まっていくと考えられます。
1,400ドル/ozをブレイクすれば長期上昇相場になる可能性も?

長期的なファンダメンタルズでケチのつけようのない金は、何かきっかけがあれば一気に世界中のマネーが集まってもおかしくありません。
テクニカル面でも5年以上の調整を続けているため、1,400ドル/ozを大きくブレイクすれば、CTAなどの莫大な資産を背景に投機的な取引を行うプレイヤーが参入すると考えるのが自然でしょう。
株や為替ばかり監視するのではなく、金の価格もたまにはチェックしていれば、長期上昇相場の初動を捉えられるかもしれません。(執筆者:三田 亮)