投資を経験したことがある方なら、誰もが過去のトレードの悪影響を受けて、手痛い失敗をしたことがあると思います。
この現象はサンクコストにより引き起こされます。
そこで今回はサンクコストが投資行動に与える影響や、過去の投資の悪影響を受けないための対処法について紹介していきます。

目次
サンクコストとは
サンクコストとは、すでに支払って取り返すことができないコストのことです。
これはお金だけでなく、今まで費やした時間や感情などにも及びます。
お金や時間をつぎ込んだ異性を手放したくないと思ったり、今までつぎ込んだお金を取り戻すためにギャンブルをやめられなくなるのも、サンクコストが原因です。
投資で言えば、下記のようなものになります。
・ 今月の利益や今年の利益を意識してしまう
・ ナンピンを繰り返している銘柄
・ 損失が膨らんでいる新しい手法
要するに、ここまでコストを支払ったのだから、「今さらやめられない!」、「後戻りできない!」と思ってしまう原因がサンクコストです。
サンクコストの罠にはまってしまうと、抜け出すことは非常に困難です。
理想論では問題は解決しない
サンクコストの罠に陥らないためには、どうすればいいのか?
一般的には適切な対処法として、下記の方法が推薦されやすいです。
・ 資産に対してのデッドラインを決める
・ 一度リセットして相場から離れる
ただ、これらは誰もが分かっていることであり、そもそもこのような柔軟な行動ができないから困っているわけです。
あくまで理想論であり、対処法ではありません。
では、どうすればサンクコストの呪縛から逃れられるのでしょうか?
サンクコストの対処法

サンクコストの罠から抜け出したいのなら、別口座で逆相関になるポジションを組みましょう。
例えば、銀行株の買いの罠から抜け出したいのなら、別口座で別の銀行株を少量空売りしたり、同じ銘柄を同枚数空売り(両建て)するといった具合です。
サンクコストの根っこには、「損を取り戻すために〇〇になって欲しい」という強烈な願望があります。
この願望が叶わなかった時に得をするポジションを組むことで、願望への執着が驚くほど和らぐのです。
今後どんな状況になっても得をする(損もするわけですが)環境を作ることによって、良い状況を確定させたいと思うプロスペクト理論を強制的に発動させます。
この良い状況を確定させたい心理を利用して、全てのポジションを閉じましょう。
この行動は同じ口座内で行っても問題ありません。
しかし、一度実行すれば分かることですが、別口座の建玉損益を見ることで、サンクコストの罠から抜け出す際のストレスが緩和されます。(今月の利益・この口座での利益の呪縛から抜け出しやすい)
そのため、できれば別口座で実行することをお勧めします。
気づいたらすぐに対処法を実行せよ
サンクコストの厄介なところは、自分が罠にはまっていることに気づきにくいことです。
そのため、自分の現状に気づいたら、すぐに理想論(一般的なサンクコストの対処法)を実行することが大切です。
その際に、心理的な抵抗感が強くて行動できない場合には、取り返しのつかなくなる前に、今回紹介した対処法を試してみてください。(執筆者:三田 亮)