1979年代に始まった中国の一人っ子政策は、2015年から「一組の夫婦につき子どもは2人まで」に変更されました。
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出生率が増加していない、でも表に出ない本当の事情
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数字で見ると2018年の出生数は、1,523万人で200万人減少しています。
二人まで出産可能になっても、この政策がうまくいっていないのではないかという印象を受けるかもしれません。
でも、出産できる年代の夫婦に影響を与えているのは確かです。
というのも、20代30代の若い夫婦だけでなく、20代に第一子を出産した、40代のママたちも続々と第二子の出産をしています。
子供が小学校の同級生の40代ママ二人は、昨年内に下の子を出産、長男次男とも同級生になりました。
第一子が11歳、今年第二子を出産した41歳のママもいます。
こうした高齢出産ママがいま、二度目の子育てに励んでいます。
40代の妊娠・出産の裏にある影
これらは単に政策が変わったから、妊活し、出産できたという単純なものではありません。
一人っ子政策中に違反し二人目三人目を生んでしまったら、(都市ごとに違いますが)それぞれ一人ずつ日本円で何百万もの高額な罰金が科され、夫婦は政府関係の仕事や軍人なら強制的に辞めさせられました。
罰金やペナルティを恐れ、多くの人は一人目の出産を終えると家族から勧めで、女性は(子宮内避妊器具などの)避妊手術を受けました。
もう、妊娠しにくい体(できないようにした)なので、そのままではほとんど妊娠できません。
それで、多くのママたちは子供を生むために、もう一度手術をして(例えば、避妊リングを取り出し)て、妊娠 & 出産に臨み、待望の赤ちゃんを授かります。
「欲しくても状況ゆえに産めなかった」という人々の願いは強く、不妊治療・人工授精・体外受精を行っている夫婦もたくさんいます。
街にあふれるベビー・キッズ用品
いわゆる「二人っ子政策」は2015年に始まったので、今4歳以下の子供たちをよく見かけます。
町を歩けばどこにでも子供用品が販売されていて、コーナーに輸入品の質のいい紙おむつ、粉ミルクが所狭しと並んでいます。
中でも日本製は質がいいので人気です。
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子供向け商品の販促がにぎわい、いい意味で中国経済に潤いを与えています。
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実は他人ごとではなかった
出産に関して、それぞれの夫婦にまかされているという印象の日本ですが、実は1970年代政府の政策として少子化があげられていました。
人口増加に発車がかかっていた1974年「第一回日本人口会議」で、「子供は二人まで」に国民の合意を得ることについて宣言がなされています。
実際に1974年から今日まで出生数が減少傾向にあり、こうした政策が功を奏したと言えるでしょう。
罰金やペナルティを課されず政策が進められ、結果として少子化対策が現在行われているので、遠いようで近い中国の出来事が他人ごとではない気がしてきます。(執筆者:桜井 まき)