子どもと親は、人生の大半をかかわり合って過ごす最も身近な存在です。
しかしその関係性は、子どもの就職や自立を機に徐々に変化していきます。
なかでもお金に関しては、学生のうちは親が費用を負担するというケースがほとんどです。
働き始めて一人暮らしをすれば、多くの場合は否応なく自立していきます。
ところが実家暮らしとなると、家庭ごとに違いが見られます。
まずはいろいろなケースをのぞいてみましょう。

目次
毎月必ずいくらかのお金を入れている人は?
2015年「SUUMO実家暮らし調査」の結果をみると、男女ともに約70%です。

20~24歳という入社間もない男性も、25歳をこえると「毎月決まった金額を家に入れている」人は48.3%から73%と最も高い数値になります。


かたや「家にはお金を入れていない」人は、平均すると3割近く存在しています。
けれどもそのなかには
・ 公共料金や光熱費を支払っている
・ 家電などの購入を負担している
・ 結婚が決まっため、貯金している
・ 留学や資格取得を目指した資金確保のため、今は入れていない
など個々の事情もうかがえます。
そこは家族なのですから、話し合いの上臨機応変に対応すべきでしょう。
ただここで注意すべきは、「若い頃は給料が安いうえ、やりくりにも慣れないだろう」と考える親心が、子どもの自立の邪魔をしていないかということ。
代わりに貯金してくれれば…という願いはよく聞く話ですが、制約のない気楽な暮らしは誰だってすぐに慣れてしまいます。
ためることを望むなら、子は家計費として毎月一定額を負担し、受け取ったお金を親が貯金することをおすすめします。
貯金するという最終的な形は同じでも、家計の一端を家族として担っているという自覚を促すことができます。
お互い「なぁなぁ」になってしまう金銭感覚は、親子ともども注意しなければなりません。
家に入れている金額は?

全体の平均は、3万7417円です。
大手不動産「エイブル」によると1人暮らしにかかる費用は、家賃だけでも東京都は8万円台、一番安いといわれる北海道や福岡でも4万円台といいますから、実家暮らしはかなりリーズナブルですね。
さらにそこにはまだまだ現役の親にすれば、お金の請求をしにくい、したくないという思いも少なからず作用しているのかもしれません。
とはいえ、実家に暮らしていても当然ながら食費も光熱費もかかっています。
やがて親は職をしりぞき、子世代がバリバリ働くようになります。
収入は逆転していくことが、ほとんどでしょう。
さらに結婚後は、別居し独立した家庭をもつことが大半であり、またこの先親子ともに何があるかわかりません。
と思うようになったとしても、染み込んだ経済感覚はそう簡単に方向転換できません。
早めの話し合いこそ、大切です。
1人の大人として対応を変化させていくこと
お金のことはたとえ親子でもなかなか、言い出しにくいです。
また、1番身近な子どもとの距離感は、これまで保護してきた親にすれば1人の大人として対応を変化させていくことが難しいことでもあります。
末永くより良い存在でいるために、お互いに経済的にも精神的にも頼りすぎない、自立した関係でいたいですね。(執筆者:吉田 りょう)