これは多くの長期投資家の悩みのひとつでしょう。
いつまで保有するかを決めていない場合には、損が膨らめば目をつむり、利益が出てもそのまま放置して、結局タイミングを逃してしまうことはよくあることです。
今回は長期投資の話題で無視されがちなexitの部分に焦点を当てて、長期投資でポジションを解消する重要性について紹介していきます。

目次
どれだけ儲かるかよりも、どれだけ損しないか
そもそも、なぜ長期投資をしているのか?
自問自答すれば、長期投資の話題で無視されがちなEXITの大切さが見えてきます。
短期トレーディングでは、よりアクティブに利益を追求することに重点が置かれます。
長期投資(しかも、誰かの資金を運用することのない個人投資家ならなおさら)の場合「どれだけ儲かるかよりも、どれだけ損しないか」を重要視しているはずです。
できるだけリスクを抑えつつ、継続して為替ヘッジ後の米国10年債利回りを超えることができれば、長期投資家としては合格と言えるでしょう。
それなのに2倍どころかテンバガーを狙ってexitのタイミングを逃して、最悪の場合には含み損に…。これでは本末転倒です。
明らかに株価がオーバーシュートした際には、初心を思い出して逃げ遅れないようにポジションを解消するタイミングを見極めてください。
長期投資の目的は資産を右肩上がりにすること

いいとこ取りして、迅速にポジションを閉じてしまう短期取引と違い、どれだけトレンドを取れるかが長期投資の鍵になります。
そのため、なるべく底付近で購入して、天井付近で売却したいと長期投資家の誰もが思っています。
しかし、トレンドの天底をピタリと当て続けることは不可能です。
そもそも、投資する本来の目的は、リスクを抑えつつ継続的に資産を右肩上がりにすることです。
決して、トレンドの天底を当てるゲームではありません。
どの程度の付近までオーバーシュートするかもしれないと予想して、現実になった時でも冷静に対応できるように準備しておくことは大切です。
天底を当てることばかり考えて、売却のタイミングを逃すようでは本末転倒です。
十分な利益を確保するから、次の長期投資のチャンスを掴むことができます。
天底当ては、将来のチャンスをつぶすことになると肝に銘じてください。
ポートフォリオ全体で考えれば見えてくる
一つの銘柄に長期投資をするという考え方をやめれば、長期投資でポジションを解消する重要性が見えてきます。
ポートフォリオ全体で考えることができれば、今後資産増加の伸びしろがなくなったものは現金化して、債券などの比較的安全な資産に振り分けておくことを自然に行えるはずです。
金利を享受しつつ、魅力的な企業の株が割安水準になれば、安全資産を現金化して長期投資を行うことができます。
長期投資でポジションを解消しないことは、現時点での利益を取りこぼすだけでなく、いずれ訪れるチャンスも逃すことを覚えておきましょう。(執筆者:三田 亮)