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互助会とは
冠婚葬祭の「互助会」は、互助会の加入者が、毎月一定額の掛金を前払金として払い込み、将来の結婚式や葬儀などでサービスが受けられるというシステムです。
時代や地域的な傾向もあると思いますが、わたしが若いころ、就職してしばらくしたら結婚式場の互助会に入るといいとよく耳にしました。
冠婚葬祭互助会が預かる前受金は、割賦販売法によって前受金の1/2を保全する事が義務づけられています。
また、互助会事業は、経済産業省より、報告徴収、立入検査、経営状況の指導などが行われます。
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互助会保証株式会社(前受金保全額が全互助会の半分以上)によると、冠婚葬祭互助会の2018年3月末時点のデータは次の通りです。
加入契約数 推定2,313万件
前受金額 2兆4,592億円
互助会のコース例
互助会は、葬儀などを行うセレモニー会館などで加入することができます。
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たとえば、ある互助会では、毎月2,000円を120回(10年間)合計24万円を払い込むコースがあります。
霊柩車
会葬礼状100枚
枕飾り
祭壇脇花
祭壇供物
受付用品
記録帖類
納棺用品
骨箱
遺影写真
写真額
焼香用品
進行お手伝い
棺
ドライアイス(1回分)
忌中紙関係
以上のセット内容が一般価格より10万円も安い24万円で提供されるという魅力的なプランです。
また、冠婚葬祭互助会としては結婚式や成人式の互助会もあり、貸衣装や写真撮影の割引サービスが付くなど、やはり互助会ならではのオトク感があります。
葬儀にはけっこうお金がかかります。
準備のために貯金をしても利息はわずかだから、どうせなら互助会がいいのではないかと考える人も少なくないでしょう。
冠婚葬祭互助会に入っていれば、突然本人が亡くなっても、遺族は葬儀社をどこにするか悩んだり費用を心配したりという必要がありません。
人間誰でも必ず死ぬ時が来ますから、残された家族に手続きや金銭面で迷惑をかけないように「互助会」という方法を選択する方がいるのも納得できます。
互助会のリスク
契約するときには途中解約なんて絶対にしないと考えるものですが、先の状況や考え方の変化は予測がつきません。
もし途中で解約することになっても後悔しないかどうか、よく考える必要があります。
リスク1:途中解約の手数料20%
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よかれと思って加入した互助会であっても、葬儀の行い方の希望が変わったり、毎月の支払いがきびしくなったりなど、途中で解約したくなることもありえます。
もちろん満期まで支払っていなくても途中で解約はできますが、互助会によって違いはあるものの解約手数料がだいたい20%ほどかかります。
預かり金に利息はついていません。
リスク2:手続きが煩雑
どんな契約にもいえることですが、加入の窓口は広く開放されているのに、解約の窓口は見つかりにくかったり電話がつながりにくかったり手続きが煩雑なこともあるようです。
リスク3:互助会の存在を忘れる
支払いが終わってから何十年も長生きした場合、本人はかなり高齢になっているため互助会に入ったことすら忘れていることがあるかもしれません。
・ 引っ越しなどで互助会からのお知らせが届かない
・ 積立金が振替されていた口座も年月が過ぎ通帳が繰り越しされて記録を確認できない
・ 加入者が亡くなったときに遺族が互助会の存在を知らない、忘れている
など、互助会加入の事実を知る機会がなくなることも考えられます。
存在を忘れて互助会を使用せず別の葬儀社で葬儀をしてしまったりする可能性もあります。
忘れ去られた積立金が、現在の前受総金額2兆4592億円のうち少なくない金額を占めている可能性もあります。
せっかく互助会に加入したのに損をすることがないように、加入したら必ず家族にそのことをくわしく知らせておきましょう。
オトクそうな互助会でも熟慮が必要
前受金の1/2が保全されるとはいえ、加入した互助会が破綻するリスクもあります。
掛け金を払ってから実際に利用するまで長い期間があるので、その点は旅行会社の積立やデパートの友の会などより不安が大きいです。
友人の実話1:両親が加入していた互助会が破綻
友人のご両親が加入していた互助会が破綻したことがあります。
新聞記事で倒産の事実を知った後、互助会へ電話してもつながらず、高齢のためネットは使えないので何も情報が入らず不安でたまらなかったそうです。
と、かなり年月がたってからご両親は泣きながら子どもに打ち明けてくれたそうですが、胸がしめつけられる思いになりました。
大きな企業でも倒産することもあるのですから、ずっと先に利用するサービスに前払いをするというのは覚悟が必要です。
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友人の実話2:理想の結婚式と違う
結婚相手のおばあ様が孫のために入っていてくれたという結婚式の互助会を利用して、豪華な結婚式をあげました。
「自分たちでは出せない金額の式だからありがたいけど、本当は理想の結婚式や会場とはちがったのよね。言えないけど。」
結婚準備の段階から、友人はそう語っていました。
おばあ様の好意を思うと、ちょっと切なくなりました。
家族ともよく話し合うことが大切
このように、冠婚葬祭互助会はオトクな反面デメリットもあります。
葬儀や結婚式など、実際にそのサービスを利用するのが積立金を払う本人とは限らないため、入会するときや掛け金を支払っている期間中も家族とよく話し合うことが大切ではないかと思います。(執筆者:野原 あき)