転勤や住み替えなどさまざまな事情で自宅を売却する場合、まずは
を把握する必要があります。
不動産の査定は不動産業者に依頼するのが一般的ですが、業者によって査定価格がバラバラであることも珍しくありません。
実際に自宅を売りに出す場合、不動産業者が査定した価格で売れる保証はありませんし、逆に言えば査定価格以上で売れる可能性もあります。
自宅を売却する場合には、不動産業者の言いなりにならず、まずは自分で自宅の値段を調べて、「賢い売主」になりましょう。

目次
土地価格の調べ方
自宅が戸建住宅の場合、その敷地(土地)価格と建物価格は、それぞれ別に価格を調べなければなりません。
土地価格を調べるためには、まず「地価公示」を見てみましょう。
地価公示とは、国土交通省土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格(売主・買主のどちら側にもよらない価格)を公示するもので、その目的の1つには「一般の土地の取引に対して指標を与えること」が掲げられています。
もちろん、この公示価格が実際に売れる価格ではありませんが、不動産業者が実勢価格を算出するうえでも大きな指標にしています。
国土交通省ホームページの「標準地・基準地検索システム」では、詳細な地名(〇〇県〇〇市〇〇町)を入力して、自宅付近の公示価格を調べることができます。
地価公示に記載されているのは、標準地の地番や住居表示・1平方メートル当たりの価格・地積(面積)・間口や奥行きの形状・現在の利用状況・前面道路の状況などで、かなり詳細な情報を確認ができます。
自宅敷地と近い公示地(標準地)の立地条件を比較して、それぞれプラス・マイナス評価してみてください。
あくまで目安ですが、公示価格の7割前後~12割前後が実際の取引価格に近いとされています。
また、国土交通省ホームページ内「土地総合情報システム」では、実際に行われた土地取引価格情報(個別物件の特定ができないもの)が提供されていますので、自宅近くの取引情報を検索し、公示価格と併せて自宅の敷地価格算出の参考にしてみてください。

建物価格の調べ方
建物価格の算出には「原価法」を用います。
原価法とは、同じ建物をいま新たに造る場合の価格(再調達価格)から、建物が古くなり劣化(経年劣化)した価値の減額を行い現在の価格を求める方法で、その式は下記のようになります。
例えば、木造住宅(法定耐用年数22年)・建築単価1平米あたり17万円、築15年・面積100平米の場合は、
となります。
この価格に、さまざまなプラス要因・マイナス要因が加味され建物価格が算定されます。
もちろんその価格が実際に取引される価格ではありませんので、ひとつの目安としてください。
マンション価格の調べ方
自宅がマンションの場合は、土地と建物を分けた価格の算定は行わず、あくまで土地建物を一体とした「取引事例比較法」を使って価格の算定をします。
ここで利用したいのは、全国指定流通機構連絡協議会が運営・管理する「レインズ・マーケット・インフォーメーション」です。

この、「レインズ・マーケット・インフォーメーション」には、宅地建物取引業者のみが使える不動産情報サイト、レインズ(REINS:不動産流通標準情報システム)に登録されている実際の取引事例(成約事例)が公開されており、自宅マンション近くに取引事例があれば、精度の高い実勢価格算定ができると思います。
ただし、このレインズ・マーケット・インフォーメーションでは、個別の不動産取引が特定できないように、価格については十万円単位を四捨五入して表示したり、実際の面積に20平米の幅を持たせて表示するなどしています。
なお、この「レインズ・マーケット・インフォーメーション」にはマンションの成約事例だけではなく、戸建住宅の成約事例も公開されていますのでぜひ活用しましょう。
不動産価格の査定に、「100%正しい」ものはありません。
自宅の値付けは不動産業者に一任せず、まずは自宅の価値を自分で調べることが「賢い売主」になるコツだということを覚えておきましょう。(執筆者:高幡 和也)