契約社員の「雇い止め」は年々社会問題化しています。
筆者のまわりでも「契約更新してもらえなかった」と慌てて新たな仕事を探している人がいます。
こういった契約社員の雇い止めには、どういった対処をしたら良いのでしょうか。
ここでは、実際に雇い止めされた経験のある方からの実体験とともに、雇い止めをされた際の対処の仕方についてお話をしていきます。
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目次
1. 雇い止めは会社にとって適切な対応で、違法ではない
契約社員や期間従業員といった有期雇用の従業員は、契約を更新することによってその会社で仕事を続けられます。
しかし、2013年に労働契約法が改正され、通算5年を超えて契約更新し勤続した労働者は、無期雇用に転換するよう求めることができるようになりました。
「有期雇用でも5年頑張れば、無期雇用になれる!」と思って頑張って勤めていたところで、まさかの「雇い止め」となる人が後を絶たないのです。
これだけ聞けば、なんて残酷な会社なのだろうと感じます。
ただ、この場合の雇い止めというのは違法ではなく、あくまでも「契約期間満了」ということですので、会社側は適法な対応をしています。
つまり、泣いてもわめいてもこの現状は変わることがないということです。
2. 会社に戻れる可能性があるかどうか、「雇用契約書」を確認しよう
2年の有期雇用契約だったAさんは、契約更新を1回行っていました。
勤続4年、仕事内容にも慣れ、正規雇用の人と同等に仕事をこなしていたといいます。
しかし、2回目の更新は行われなかったといいます。
すると、2年間の有期雇用であること、解雇予告は1か月前までに実施されることの記載があり、無料の法律相談に行っても、違法性はないといわれました」(40代女性・会社員)
雇用契約書に記載されていた内容通りに会社側が対応をしていて、ただ単に契約更新がなされなかった場合は会社に戻ることは難しいといいます。
ただ、記載がない場合や解雇が突然通告された場合など、争う余地がある場合については一度法律相談に行ってみるのも良いでしょう。
ただ、結局のところ、会社と揉めて心穏やかに長く勤めることは難しいといえます。
雇い止めされた場合には、前向きに転職に向けて活動をすることも大事なのです。
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3. 失業後の準備、どういった手続きが必要になる?
雇い止めされた場合について、わかった時点で失業してしまうことに対し生活の基盤を整えていかなくてはなりません。
どういった手続きをすることによって、公的なお金が貰えたり、支払いが免除されるのでしょうか。
健康保険が使えなくなる
会社で加入していた健康保険が使えなくなってしまうために、新たに健康保険に加入する必要があります。
国民健康保険に加入するか、国民健康保険の被扶養者となるか、はたまた今の健康保険を任意継続するか…の選択をすることになります。
任意継続には所定の手続きが必要になり、期限も定められていることから退職前に職場の福利厚生担当者様に相談しておきましょう。
国民健康保険に加入する場合は、いつまで会社の健康保険に加入していたのかを話せば市区町村の役場で手続きすることが可能です。
失業保険の申請をする
職がなくなるのですから、生活していくお金に困ってしまいます。
まずは、失業保険について申請を行いましょう。
まずはハローワークに行き、雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票をもらいます。
これは、運転免許証などの本人確認書類があれば対応してもらえます。
そして、離職するということを伝えましょう。
離職証明書に記入し、退職後に会社から送付される雇用保険被保険者離職票(主に離職票といわれます)をハローワークに持って行き、求職申込をしましょう。
あとは、雇用保険受給者初回説明会へ行き、雇用保険受給資格証と失業認定書をもらってきます。
あとは毎月ハローワークで失業の認定を受け、指定された日にしっかりと通うことで失業保険が受給されます。
この一連の手続きには時間がかかり、支給されるまでには長い場合3か月程度かかるといわれています。
早め早めの手続きで、生活費を確保しましょう。
年金の手続きも忘れずにしよう
今まで会社で給与から天引きされていた厚生年金ですが、これからは国民年金に切り替わります。
もしも、支払いができないという状況になっているのであれば、最寄りの国民年金事務所で免除・猶予申請を行いましょう。
雇い止めとなってしまった場合には、雇用契約書を確認して自分がどんな雇用形態だったのかをチェックしましょう。
期間満了の場合については、失業することを踏まえて転職活動を行っていきましょう。
健康保険や年金など、出ていくお金についてもしっかりと手続きをし、大損をすることのないようにしてください。(執筆者:三浦 希枝)