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美大受験すると決めたら美大受験対応の教室を探す
筆者が美大出身と知ると、多くの人は「実家はお金持ちなのね」と言います。
それほどに美大はお金がかかるイメージが強いようです。
たしかに美大は授業料の他にも材料費がかかります。
さらに、美大は入学する以前からお金がかかるのです。
今回は、美大に合格するまでに必要なお金についてお話ししましょう。
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「美大受験」に向けて筆者のケースと「予備校選び」について
筆者は高校2年生のときに美大受験することを決め、大手美大受験予備校の夏期講習に参加しました。
講習会には「絵が好きだから」、「地元の絵画教室では一番うまいから」という理由で参加した高校生も多かったです。
しかし、美大受験予備校に来る学生のレベルは絵画教室のレベルとは全く違います。
夏期講習中に自分のレベルを知り「井の中の蛙だった」と言って実家に帰った人もいました。
つまり、美大を目指すならば「月謝が安い絵画教室」、「通いやすい教室」と考えていてはいけません。
美大受験対応の教室は、絵画教室よりもグッと授業料は高くなります。
しかし、高度なレベルのライバルに囲まれることで自分の実力を知り、美大受験のノウハウを熟知した講師から受験の実践的な指導を受けることで効率よく合格に近づくことができるでしょう。
と言っても過言ではありません。
美大受験対応の教室にはいつから通うべき?
美大受験対応の教室は小学生から受け入れているところと中学生から受け入れているところがあります。
美大を目指す目的ならば、早くて中学生から、遅くても高校2年生までには通うべきです。
早くから教室に通うメリットは、デッサン力が身につくことです。
美大は受ける学科によって実技試験内容が変わりますが、デッサンはすべての学科に共通して行われる試験です。
デッサン力は描けば描くほど上がります。
早くから始めることでデッサンの枚数が増え、実力も上がるでしょう。
ただ、早くから通い始めると受験本番までに気持ちもお金も息切れしてしまう可能性があります。
中学生から通い始めるならば、週末だけ通うコースなど負担が少ないコースを選ぶといいでしょう。
美大受験までにかかる費用 <最初に用意する画材と道具の費用>
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美大受験をすると決めたら、道具を購入します。
購入する道具の種類は希望する学科によって異なります。
例えば、
「デザイン」ならばデッサン道具一式とデザインのセット
です。
デッサン道具も油絵ならば木炭で描くことが多く、デザインならば鉛筆で描く傾向があります。
鉛筆も1種類ではなく、濃さやメーカの違う鉛筆が数十本必要です。
最初から完璧に道具をそろえる必要はありません。
最初は基本的なものだけを準備して、徐々に買いたすようにしましょう。
最初は、デッサン道具一式が1万円程度、油絵やデザインに使う画材が1万円程度(絵の具や筆は上をみればキリがありません)で準備します。
デザインにはコンパスや三角定規も必要ですが、100円ショップで安くそろえても使い物になりません。
デザイン用のコンパスは、それだけで5,000円以上と高額です。
美大受験の教室では、高額な道具は貸し出しも行っています。
必要に応じてコツコツと買いそろえていく方がいいでしょう。
絵の具や筆、紙類は消耗品で、毎月1万円程度の出費は必要でしょう。
美大受験までにかかる費用 <通常の授業料>
美大受験の教室には「夜間部」と「昼間部」があります。
「夜間部」は現役高校生が多く、高校の授業が終了してから始まるコースです。
一方、「昼間部」は浪人生が多くなります。
「昼間部」
9時半ごろから16時半ごろまでの約7時間を週5日間です。
朝から授業が始まり、お昼ご飯をはさんで夕方まで授業を受けます。
授業料は年間約50~70万円です。
「夜間部」
17時ごろから20時ごろまでの約3時間を週5日通います。
授業料は年間約30~45万円です。
その他のお金もきちんと考えて
美大受験対応の教室や予備校は数が多くありません。
通学する日数も多いため、交通費が想像以上にかかります。
費用を計算するときには、授業料だけでなく、交通費や食事代も含めて考えておきましょう。
美大受験までにかかる費用 <春夏冬の短期講習授業料>
美大受験の教室では、春夏冬に短期講習があります。
短期講習は、全員の作品を前に並べて1位から最下位まで順位をつけたり、受験本番さながらの課題に挑戦したりと美大受験の意識を一気に高める機会です。
短期講習の授業料は通常の授業料と別途で必要ですが、美大受験には必要なものであり、参加は必須といってもいいでしょう。
短期講習の授業料は4万円~12万円程度です。
教室によって違いはありますが、短期講習期間中は約5日間を1クールにしています。
授業料は1クール4万円程度です。
クールごとにテーマが変わるため、多くの学生はできる限り多くのクールを受講し、春と冬は2クール、夏は3クール受講します。
そうすると、春と冬の講習は各8万円、夏は約12万円になります。
短期講習中は、夜間部も昼間部も合同授業になり、お金にはかえがたい多くの刺激を受けることができるでしょう。
美大受験には、実技以外に学科も必要です。
美大受験対応の教室では学科の短期講習もあり、授業料は別途3万円程度必要になります。
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美大合格までにかかる総費用
美大合格までにかかる費用は、美大受験対応の教室や予備校に通い始める時期で大きく変わります。
一番安く受験するならば、高校2年生から通い始めて現役合格する方法です。
この方法ならば、
短期講習代(春8万円、夏12万円、冬8万円を各2回)
学科講習代(3万円 × 6回)をあわせて約154万円
になります。
このほかに、最初に購入する画材代約1万円と毎月の材料費や画材代が24万円(月1万円 × 2年間)を加えると総額は2年間で約178万円です。
このほかに交通費も加算すれば200万円ちかくになるでしょう。
また、美大は現役合格しない人もたくさんいます。
浪人した場合は、年間約121万円(授業料60万円+春8万円+夏12万円+冬8万円+学科講習代9万円+材料費24万円)と交通費です。
このほか、昼間部になるときには数万円の入学金が必要になることもあります。
学費や授業料の「お金」は計画的に準備しておくことが大切
「美大はお金がかかる」とよく言われますが、実は合格する前もお金がかかります。
筆者が在学中もせっかく合格したにもかかわらず「学費が払えない」という理由で大学を去っていく人がいました。
美大合格は才能がなければできません。
筆者は、才能とは「夢に向かい続ける気持ち」、「実力に関係ない『好き』という気持ち」だと思っています。
才能はお金で買うことができません。
しかし学費や授業料の「お金」は計画的に準備しておくことができます。
子どもから「美大に行きたい」と言われたときには、お金の現実を早めに把握して準備を始めるようにしましょう。(執筆者:式部 順子)