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「資産寿命」をどう延ばすか
厚生労働省が2019年7月30日に発表したデータによると、2018年の日本人の平均寿命は男子が81.25歳、女性は87.32歳と過去最高を更新しました。
人生100年時代も現実味をおび、「公的年金以外に2,000万円が必要」との情報を金融庁が発表し、新聞やテレビ、そして国会でも大きく取り上げられました。
長い老後を暮らすための蓄えにあたる「資産寿命」をどう延ばすかを早めに考える必要があります。
公的年金だけでは不安な老後を安心して暮らすために、働き盛りの現役時代や定年退職前後に不動産投資を始めるケースも増えてきました。
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(平成28年12月)では、老後ゆとりある暮らしをするための生活費は、月額34万9,000円が必要とされています。
この老後の生活費を公的年金に頼らずに確保したいという理由で、最近では30代で不動産投資をはじめて65歳までにローンを完済するというプランをもっている人もいます。

新たな不動産投資術として注目を集める「ゲストハウス投資」
一般的に、不動産投資には大きく分けて6種類があります。
1. 区分マンション投資
個人投資家のなかでメジャーなのが「区分マンション投資」です。
マンションの一室を取得し、そこを賃貸物件として運用することで収益を上げる投資方法です。
ハードルが低く少額から始めやすいメリットがある一方、収益性は比較的小さいといえます。
2. 一戸建て投資
相続などで始める方も多い「一戸建て投資」は、前者同様、中古もしくは新築してその物件を賃貸経営することで収益を上げる投資ですが、利回りが低くなりやすいというデメリットがあります。
一戸建ての場合は入居者が1組しかいないのでファミリー層の場合も多く、居住年数が長くなるというメリットも多いのですが、小さなお子さんがいる家庭がほとんどであり、室内が劣化しやすいというデメリットもあります。
その他の不動産投資
3. アパート投資
4. 一棟マンション投資
5. 駐車場経営
6. 民泊投資
など、不動産投資にはさまざまな種類があります。
新しい不動産投資術
ここ数年で誕生した新たな不動産投資術として「ゲストハウス投資」(古民家投資)があります。
2,000万円程度から始められ、社会問題を解決しながら収益性もあるとして投資家から注目を集める投資術となっています。
しかし、それ以外にも建築士とともに夢を語り合いながら「世界に1つだけのオリジナル旅館」を作っていくという楽しさがあります。
親しい友人・知人を招くこともできる自分のセカンドハウスとしても活用でき、工夫次第ではいろいろ活用できる不動産を持つことを有意義と感じる投資家もいらっしゃいます。
急成長する観光業界の中で「当事者」として外国人観光客と接点を持てること、古民家での滞在を通じて日本文化を世界に発信していくなど、投資を通じて自身「夢」や「想い」を実現できることも、他の投資にはない大きな魅力となっています。
また、日本が抱える大きな社会問題のひとつでもある空き家問題や伝統ある古民家の保全などにも貢献し、社会的意義も大きい投資といえるでしょう。
インバウンドにも人気の古民家ゲストハウス

2018年の訪日外国人客数は、前年比8.7%増の3,119万人で、JNTOが統計を取り始めた1964年以降、過去最高の記録となりました。
政府も経済成長の起爆剤として観光業を位置づけ、2020年には4,000万人、2030年には3,000万人を目標としています。
加えて、東南アジア諸国の経済成長による旅行者の増加や、LCC就航数の増加で今後も訪日外国人客数が急増していくことが見込まれます。
インバウンド需要が盛り上がる中、宿泊施設が積極的に開発されていますが、その多くがビジネスホテルであり立地も同じようなエリアに集中しています。
空き家や古民家を改修した一棟貸切タイプのゲストハウスは、日本の生活様式を体験した訪日外国人にも人気があるため、高利回りを実現できる可能性があります。
アパートやマンションなどの投資賃貸の実質利回りが3~5%、中・大型ホテルでは5~6%といわれるのに対し、一棟貸切タイプのゲストハウスは6~9%となり、古民家を改装したゲストハウス投資は他の不動産投資と比べて利回りの高い事業といえます。
古民家を改装したゲストハウス(一棟貸切旅館)の利点とは?
民泊新法施行から1年以上が経過して厳しい局面の中、追い風が吹いているのが、古民家を改修した一棟貸切タイプの「旅館業付き物件」です。

旅館業は、民泊と比べて基準・検査などは厳しいですが、ホテルや一般的な旅館と同じ分類になるため営業日数の制限もありません。
そしてAirbnb等の民泊掲載サイトや各種OTA(楽天やじゃらんなどのオンライントラベルエージェント)にも掲載可能です。
運営するうえで大切な集客もコツを掴めば容易になり、民泊と比較して収益性は圧倒的に高くなります。
また、旅館業法や建築基準法が規制緩和されており、旅館業が取得可能な物件が増えていることからも「民泊から旅館業へ」と促したい政策的意図がうかがえます。
不動産取得から開業までの期間は、中・大型ホテルは約2年を要しますが、戸建て住宅を改修するゲストハウス(一棟貸切旅館)は工事・申請が約6か月ほどで開業が可能なため、早期に投資回収をスタートできます。
加えて小回りが利くため、拠点を分散することでリスク抑制が可能になり、収益物件としても住居としても売却可能なため、さまざまな出口戦略を立てやすいなどのメリットもあります。(執筆者:浅見 清夏)