私たちは日々大なり小なり、選択をしています。
自分で最終決断をするシングルマザーは、判断に悩むことも多いと思います。
そこで今回は特に暮らしを左右する住居、仕事、教育費について、それぞれの選択肢とメリットデメリットを筆者の体験も踏まえてご紹介します。

目次
住まい
・ 実家に帰る
・ 子どもと自立するのか
実家に暮らすメリットデメリット
経済的にも精神的にも不安定な時期、実家に身を寄せる方も多いと思います。
しかし、親や兄弟と同居するとたとえ世帯分離しても、同一家計と判断され母子家庭向けの手当が減ったり、もらえなくなることがあります。
また、保育園などの入園にも優先順位が下がる場合や、保育料が高くなることがあります。
けれども、家に大人がいるということは子どもが小さいうちは特に心強いものです。
しかも民間の賃貸住宅を借りるとなると、通常まずは初期費用として以下の費用がかかります。
・ 礼金 … 1~2か月分
・ 前家賃 … 1か月分
・ 日割り家賃 … 入居が月の途中だった場合1か月分を日数で割った金額
・ 火災保険 … 約5,000~1万1,000円
・ 仲介手数料 … 1か月分
以上数十万円という負担の他、引越し代や新居での家具、家電などの費用も検討せねばなりません。
たとえ実家にお金を入れたり、手当が減額されたりしても、経済的な負担は実家の方が少ないことが多いでしょう。
子どもと住まいを探すなら
賃貸を借りるときの負担を減らす方法があります。
まずは自治体のホームページなどで母子家庭向けの家賃補助制度がないか、調べてください。
数千円~2万円程度補助が得られる地域があります。
また、県や市などが運営する公営住宅はとてもリーズナブルです。
どちらも申請には、応募する自治体での最低居住年数や家族で住むことなど、条件が設けられています。
しかし、気になる所得については基準値内であること、つまり所得が低くても借りられるところが多く見られます。
また激安といえば、シングルマザー向けのシェアハウスがあります。

連帯保証人不要、離婚考え中や調停中でもOK、共有の家具付きという物件も見られるので、新生活への負担が軽減させられそうです。
筆者の場合
離婚後しばらく、実家でお世話になりました。
けれども、成長する子どもと祖父との関係が互いによい状況にならなかったこと、実家が学校や塾から遠く、通う費用や送り迎えが必要になることから転居しました。
確かに経済的な負担は増えましたが、子どもが単独で動きやすくなったことで、親子共にとても楽になりました。
また転居先は民間の賃貸でしたが、児童扶養手当も考慮してもらうことができ、問題なく審査に通ることができました。
シングルマザーの仕事
・ パート
・ 正社員
パートで子どもを養う現実は
子どもを抱えて仕事をしていくのは、大変です。
子どもが病気になったり、学校行事があったりと長時間勤務ができない事情は数えきれないほどありますよね。
しかし問題は収入です。
平成30年度のパート収入の全国月間平均額は、9万9,827円です。(参考元:厚生労働省)
母子家庭の場合、子どもが18歳に達する日以後の最初の3月31日までは児童扶養手当が受給できます。
前年の所得と扶養する子どもの数によって金額は変わりますが、例えば一人なら月4万2,910円~1万120円の支援が受けられます。(参考元:大阪市)
さらに子どもが小さいうちは、自治体によって差額はあるものの児童手当も受給できます。
例えば大阪市なら、児童手当と児童扶養手当だけで2万120円~5万7,970円受給できます。(参考元:大阪市)
しかしながらどちらの手当にも、所得制限があるため仕事を頑張れば手当が減るという事態もあり得ます。
また、パートやアルバイトは働いた時間分しか収入にはならず、休みが多ければ所得は減るため安定しません。
今や副業ブームのため、ネットを通じて自宅でできる仕事も多数見られますが、数をこなさなければお金になりません。(参考元:クラウドワークス・ランサーズ)
とは言っても、パートであっても
・雇い入れの日から6か月経過している
・その期間の全労働日の8割以上出勤しているなら、
労働日数に応じて有給休暇が比例付与されます。(参考元:厚生労働省)
また就業条件によっては、厚生年金に加入することができます。(参考元:日本年金機構)

正社員になるメリット
一方社員になれば、所得の見込みがたち貯蓄の予定がたてやすくなります。
女性は平均すると男性より賃金は安いですが、所得の低い人が全て、貯蓄が少ないとは限りません。
基本給がいくらあると見込めれば、受験などのライフプランに合わせた貯蓄計画をたてることが可能になります。
また、正社員として雇用されているということは、家を借りる、教育資金を借りるなどという社会的な信用が必要になるときに力強いサポートになります。
筆者の場合
パートの経験を活かして同じ職種で、社員になることができました。
息子は2人とも病気がちな時期がありましたが、何より兄弟で助け合ってくれました。
子どもの小さいときは振り返れば、あっという間です。
生活の安定は精神的な安定につながります。
パートにしても社員にしても、長く勤めることを体験からオススメします。
給与のベースアップも期待できますし、無理を聞いてもらいやすく後でフォローがしやすいです。
何より自分の自信につながります。
教育費
子どもの教育問題は、かかる金額がばかにならないだけに熟考が必要です。
当然のことですが、まずは子どもとしっかり話し合うことが先決です。
幸いなことに現代には、さまざまな支援があります。
東京都では、中学3年生と高校3年生を対象に「受験生チャレンジ支援貸付事業」として、塾費用や受験料を無利子で貸付けています。
無事高校や大学に入学した場合には、有難いことに返済が免除されます。(参考元:東京都福祉保健局)
また大阪市でも、中学生へ上限月額1万円として「塾代助成事業」を行っています。
この政策では、学習面だけでなく、英会話や音楽、パソコン、水泳、ダンス教室など幅広く利用できるので子どもの可能性をのばすチャンスに使えそうです。
教育費については母子家庭向けのサポートにこだわらず、調べてみてください。
さらに大金が必要になる大学進学には、奨学金を考える方は多いでしょう。
まず探したいのが給付型の奨学金です。
一番メジャーな日本学生支援機構の奨学金は、給付型は学力以外に収入基準が生計維持者の市町村民税所得が非課税などと定められています。(参考元:日本学生支援機構)
その他同ホームページでは「大学・地方公共団体等が行う奨学金制度」が検索できます。(参考元:日本学生支援機構)
試しに「東京都、私立、大学、専攻分野の限定なし、奨学金、給付」で調べてみると団体では108件、奨学金制度数は498件もヒットします。
ただし忘れてはならないのは、奨学金は一定の学力を求められることが多々あります。
本人の覚悟を今一度、確認してください。
また、貸与型の奨学金を利用するなら、必ず親子でシミュレーションをしてください。

成人間近とはいえ、子どもは生活費がどれくらい必要かわかっていない場合が多く見られます。
日本学生支援機構の奨学金には、減額返還制度や返還期限猶予制度など返済が苦しくなったときのサポート体制もあります。
制度を十分に理解しておくことこそ、子どもの自立に向けた第一歩でしょう。
筆者の場合
2人の息子の進学は、本当に大変でした。
少なくはないお金がかかりましたが、地方の塾でも母子家庭への授業料減額制度があったり、大学独自の給付型奨学金がいただけたりと思いがけない救いの手がありました。
結果2人とも、希望の職についています。
あきらめずによかった、心からそう思います。
失敗してもいいと思います。
また違う道を見つけて、いろいろな方法を模索してください。(執筆者:吉田 りょう)