なんてことは、夫婦間でよくある話です。
夫のキャッシュカードを妻が管理し、ついでに引き出したお金を妻名義の通帳で預かっているなんてことも、世間ではよく聞きます。
どちらの名義で預金していても、離婚する場合は、夫婦の共有財産として足して2分の1にすることになるので問題はなさそうですが、配偶者に相続が発生する場合は要注意です。
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預かったのか、貸したのか、贈与したのか

夫の預金を預かったまま、夫が亡くなり相続が発生した時は、妻名義で預かっていた財産も全て相続財産に加算されることになります。
10年も前のことだから分からないだろうと思いがちですが、故人の通帳の動きは相続税調査で明らかにされます。
つまり、贈与時には発覚しませんが、相続時に分かるのです。
しかも、預かり金や貸付金には時効もありません。
贈与なら7年で時効
夫の亡くなる3年以内の贈与であれば、贈与税の基礎控除である、110万円以下であっても相続財産に加算されることになります。
実務をやっていてよくあるのが、
場合です。
もしそれが事実なら、贈与税の無申告が相続税調査で発覚する可能性が高いため、期限後でも申告することをおすすめします。
住宅資金の非課税贈与の申告忘れはどうする?

意外に多いのがこのケースです。
申告をすれば非課税で贈与ができ、相続財産に加算されることもないこの制度ですが、期限後申告では非課税の適用ができないのです。
暦年贈与で贈与税をしっかり払うか、貸付金であれば贈与税は発生しませんが、貸付金として相続財産に加算されます。
贈与なのか、預かりなのか、貸付金なのかは事実認定で判断されます。
当事者間の契約書があれば、判断材料になります。
贈与税の申告をすれば、贈与と認められるわけではありません。
贈与を受けた当事者が贈与の認識があるのかどうかも重要です。
愛人へのお金の扱いでもめるケースも
実務で故人の通帳をみていて時々あるのが、多額の現金が引き出され、そのお金の行方が不明という場合です。
あるケースでは、奥さんが、
そのママから、愛人手当の無申告か贈与税の無申告でも何でもいいから取り立ててください」
と言ったものの、愛人が「故人から借りたお金」と証言したら、愛人には税金が発生しない上に、故人の相続財産に貸付金として計上されることもあり得ます。
こういったお金のやり取りは書面を残すべきです。
結局、不明の500万円は相続人全員に確認作業を行い、通帳も調査されましたが、愛人に渡ったとの一点張りで、当局も「疑っていますが、証拠が出ない以上相続財産に加算できません」とのことで調査は打ち切りとなりました。
大切なのは、事実がどうかです。
この記事は、「愛人にお金を渡した」と言えば脱税できる話ではありません。
もし、事実でない事を言えば、ウソは必ずバレます。(執筆者:橋本 玄也)