緊急一時帰国費用補償とは、
3か月以上の海外渡航者(海外駐在員、海外留学者等)の海外旅行総合保険に付帯し、その親族の死亡・危篤等により一時帰国した場合にその往復の航空運賃等交通費、宿泊施設の客室料および諸雑費の費用を補償する保険です。損保ジャパン興亜
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3か月以上の海外旅行保険契約に付帯できる特約

留学や海外駐在員になると3か月という期間は長期と言えないなかもしれませんが、そのような海外旅行保険契約のみ付帯できる特約が、緊急一時帰国費用特約です。
親族(2親等以内)に万が一や危篤があると帰国したくなるのが当たり前の感情だと思いますから、海外旅行保険加入時に付けておくのがおすすめの特約です。
渡航前から傷病がある場合は要注意
海外旅行保険の緊急一時帰国費用特約は、2親等以内の親族の死亡または危篤で支払われる特約です。
ただし、その親族が渡航前から患っていた傷病による場合は対象になりません。
例えば自分の渡航前に祖父母が脳卒中で入院していたとします。
渡航後に脳卒中が原因で亡くなった場合には残念ながらこの特約の補償対象にはなりません。
既に祖父母等が入院して療養経過が思わしくないからこの特約を加入しておく、というのうはあまりおすすめできないことになります。
予想外に補償が適用されることもある
先ほど親族(2親等以内)が自分自身の渡航前から患っていた傷病での死亡または危篤で支払いがされないことを書きました。
実際その通りではあるのですが、実のところ死因というのはそれほど単純ではありません。
がんが原因で亡くなりました、という方の診断書を見ると、一番初めに書かれている死因は心不全や肺炎などだったりします。
闘病中の親族がいても、その闘病の要因が渡航前なのか渡航後なのかが問われますし、闘病中だったとしても直接の死因だったのかというのも関係します。
例えば渡航前に脳卒中で入院していた祖父母が心不全で亡くなったという場合に、因果関係と言いましょうか、関連がなければ緊急一時帰国費用特約は補償されます。

高額な帰国費用を補償してくれる
親族(2親等以内)の死亡または危篤は穏やかな事態ではないですし、一刻を争うと思う方もいるでしょう。
しかしながら問題なのはその帰国費用そのものです。
即帰国しようとしてもエコノミークラスが空いていなくビジネスクラスしか空いていないというのは決して珍しくありません。
緊急一時帰国費用特約はエコノミークラスで帰国することを促しているものの、この緊急事態でビジネスクラスしか空いていないという場合はビジネスクラスの費用が支払われます。
適用条件を確認し、問題無く適用されるならビジネスクラスで迷わず帰ってきてください。
大切な人との時間、後悔無きように
緊急一時帰国費用特約は、言ってしまえば往復の航空券代が出るだけのものかもしれません。(厳密には帰国時の宿泊費用や諸雑費が出ます。)
しかし、そこにはさまざまな思いがあるものです。
大好きな祖父母が亡くなって、すぐに葬儀が行われる状況でそのまま留学や出張を続けられるものでしょうか。
海外旅行保険の補償はほとんど自分のためものですが、緊急一時帰国費用特約は人情に寄り添う、とても暖かみのある補償です。
このような特約があることを知ってもらえれば幸いです。(執筆者:原山 栄治)