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なぜ、遺言書を作成すると争族になるのか?
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遺言書が無効になる事もない
税理士に相談
節税にも配慮した
そんな遺言書であれば、完璧でしょうか?
遺言書を作成してはいけない理由が2つあります。
1. 親の遺産をどうするのかは、本来残された子がやるべき宿題
子供の宿題を、親が遺言でやってしまえば、子は成長できません。
親の遺言で少ない財産を取得するのと、子自身が譲るのでは、天と地の開きがあります。
遺言は、この「譲る精神」を奪うことになります。
2. 遺留分の存在
相続人が第三順位のきょうだい・おいめい以外には、遺留分があります。
もちろん請求しなくてもいいのですが、あえて親に少なく書かれた当事者にしてみると、当然面白くありません。
感情的にも、遺留分を請求することになります。
また、請求しなくても「心の傷」はできるかもしれません。
優秀だった子が、遺言書では少なくなる可能性
「出来の悪い子」がいれば、親として、その子に多く残す遺言書を作成する。
親の立場で考えると、それは、当たり前の感情ではないかと思います。
第三者から見れば、自然なことでも、優秀であった子にしてみれば、納得いかないかもしれません。
確かに、遺言には、付言事項で、思いを残す方法はあるものの、それすら親があえて行う必要があるのかどうか、やはり、個々に検討が必要です。
借金が多い方が、得なのか
ある、遺言書で、借金についての記載がありました。
アパート2棟遺贈する子と、アパート1棟遺贈する子がいました。
とありました。
アパート建設費の借金は、建物のひも付きですから、建物に応じた借金を相続させるのが、合理的かと筆者は思いましたが、依頼者は、
と言います。
確かに、相続税だけ見れば、そうですが、借金は、返済しなければなりませんし、支払利息が発生し、借金が多くなれば、支払利息も多くなります。
遺言書があっても、遺産分割協議を行うケース
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法律的には、遺言書通り執行できる、ケースでしたが、きょうだい間の、感情のもつれをなくすため、分割協議に変更したことがあります。
そうなのです。
きょうだい間で話し合いができる家のケースだったのです。
遺言書がなければ、
・ 依頼したところへの遺言書作成料
・ 公証役場への費用
は、不要で、分割協議で、少なかった方の、話をじっくり聞かせていただく時間と労力がいりませんでした。
そしてなにより遺言のせいで、少なく書かれた方の「心の傷」が生まれてしまったマイナスの点に目を向けてほしいのです。
少なくとも、
です。
血の濃さが違う、場合は、そうなった責任が親にもあり、遺言は、親の責任で必要かもしれません。
子がいない夫婦の場合は、反対に、配偶者のために遺言書は作成すべきです。
再度書きます。遺言は作成すればよいのではありません。(執筆者:橋本 玄也)