増税が実施されてから、私たちの生活はどのように変化したのでしょう。
8%だった消費税が10%に引き上げられたその事実。
たかが2%、されど2%……受け取り方は人それぞれではありますが、そこに隠された数字のマジックについて皆さんはお気づきでしょうか。
目次
にわかにあがった増税への疑問
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まだ増税が実施されていないある日、中学生になる筆者の息子が増税に関するニュースを見ながら、このような質問をしてきました。
この質問に筆者は全く意味がわからず「へ?」とひとこと返すだけでした。
8%から10%に増税するなら、アップしたのは2%なはずなのに、なぜここで25%という数字が出てくるのでしょう。
2%と25%では倍以上の差があり、この差を簡単な節約で埋めることはできないかもという不安に襲われていきました。
子どもの思いすごし、勘違いであれと祈りながら、増税について調べていくうちに、ついに筆者は25%という数字にたどり着いてしまったのです。
支払う金額は価格+10%だが、数字のマジックだまされるな
ここからはわかりやすく解説するために数字を織り交ぜて、増税がもたらした数字のマジックについて説明していきましょう。
具体例:200円のコーヒーを店内で飲んだ場合
【例】カフェで販売している200円のブレンドコーヒーを店内で飲む。
増税前の消費税は8%。
増税前にカフェでブレンドコーヒーを飲んだ場合に支払う金額は、税込みで216円でした。
これが令和元年10月1日からスタートした増税後には、10%の消費税が加算され220円になります。
ここまでは至って簡単な計算です。
これが数字のマジックにより、消費者が勘違いする結果へと導かれていくのです。
数字のマジック。2%アップは25%アップ?
計算が得意な方はすでにお気づきかもしれません。
216円と220円。その差は4円です。
この4円という数字から、25%増のからくりが見えてきます。
増えた金額に注目
消費税だけを切り取って考えてみましょう。
増税前のブレンドコーヒーの消費税は16円で、増税後は20円です。
税金の増え方だけでみると、2%アップではなく25%アップになっていることにお気づきになったでしょうか。
増えたパーセンテージに注目
増税のパーセンテージからも考えてみましょう。
増税後の消費税10%から、増税前の消費税8%を引くと2%です。
2%は増税前の8%に対し1/4となります。
2 ÷ 8 = 1/4(0.25)
1/4(0.25) × 100 = 25%
1/4をパーセンテージで表すと25%…ようやくこの数字にたどり着きました。
今回の増税で、
という数字のマジックがおわかりいただけたでしょうか?
キャッシュレスポイント・還元にはうれしい数字のマジックが
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同じ数字のマジックが起こっているのは「キャッシュレスポイント・還元」制度です。
消費税が増税され10%になりましたが、キャッシュレス決済を利用することで購入金額の5%がキャッシュバックされます。
そうなるとキャッシュレス決済のおかげで、増税した2%を差し引いても3%が手元に戻ってくると思うことでしょう。
これこそが数字のマジックにはまっている証拠です。
具体例:1,000円の問題集を購入する場合
【例】子どもの勉強用の問題集を1冊1,000円(税抜き)で購入する。
・ 税込み価格 1,100円
ここで問題となるのは、キャッシュレスポイント・還元は、税抜き価格と税込み価格のどちらに適用されるかという点です。
実は5%キャッシュバックではなく、5.5%キャッシュバックだった!
正解は「税込み価格の5%が還元される」です。
しかしこれこそが、みんなが気づいていないちょっとうれしい数字のマジックかもしれません。
・ 税込みの場合 1,100円 × 5%(0.05) = 55円
よくみると、
ではありませんか!
これはうれしい誤算であり、喜ぶべき数字のマジックです。
たかが5円、されど5円。
たった0.5%増えただけだとしても、元の金額が大きくなるに連れ「まあいいか」では済まされなくなることを、節約に励む主婦の皆様は容易に想像できるでしょう。
だからこそ9か月間限定となる2020年6月末までのキャッシュレスポイント・還元制度は、大いに利用し、活用し、家計の負担を軽減させる強い味方になってもらいましょう。
目の前の数字にとらわれず、広い視野を持つことも節約への一歩につながる
2%という増税は、わずかな数字に見えて、私たちの生活を確実に脅かしています。
たった2%の増税だったはずが、実は25%も増えている事実をしっかりと受け止め、固定費の見直しや無駄使いを減らすことに尽力していきましょう。
もし増税について思うことがあれば、積極的に選挙に出向き、自分たちで変えていける世の中になるようにも努めたいものです。(執筆者:櫻宮 陽)