先月令和元年10月1日より、消費税が10%に上がったのと同時に幼児教育・保育の無償化が始まりました。
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目次
先進各国の無償化事情
欧州を中心にすでに無償化を行っている国があります。
イギリスでは、2010年からすべての3歳児~4歳児に対して、週15時間(年38週分上限)無償化が行われています。
フランスでは、ほぼすべての3歳~5歳の子が、授業料無料の公立のエコール・マテルネル(保育学校)に通っています。
福祉大国スウェーデンでは、3歳児~6歳児が1日3時間が無償です。
これに児童手当が1人当たり月額1,100クローナ(約1万3,500円)が支払われます。
※ 1スウェーデンクローナ=11.34円(11月8日現在)で換算しています。
日本での幼児教育・保育無償化の対象
日本で導入された幼児教育・保育の無償化はどのようになっているのでしょうか。
無料(月額2万5,700円まで)
【認可保育所・認定こども園等】
無料
【認可外保育施設】
無料(月額3万7,000円まで)
無償化と言っても完全に無償化になるわけではなく、
・ 通園送迎費
・ 食材料費
・ 行事費等
については無償ではありません。
ただし、
・年収360万円以下の世帯の子供たち
については副食費(おやつ等)が無償です。
幼稚園は上記の通り月額2万5,700円までですが、
ケースもあります。
0歳~2歳までの子供たちも住民税非課税世帯に限り無償です。
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不公平感や待機児童問題は解消せず
教育費の負担を減らし、少子化に歯止めをかけようと国が導入した制度ですが、懐疑的な見方もあります。
上限のない認可保育所と上限あり(月額3万7,000円)の認可外保育所で不公平感があります。
働きたくても働けない専業主婦には恩恵がなく、待機児童問題を抱える地域もあるのが現状ですが、幼稚園・保育施設不足、教員・保育士不足は解消されるわけではありません。
これまで各市町村独自に運営を行ってきた地域では、国の制度に合わせることにより、かえって負担増になるケースもあります。
そもそも、消費増税による可処分所得の低下や、消費の冷え込みによる賃金の低下等が、無償化の恩恵を上回ってしまう恐れがあります。
補助を出すだけで終わりにするのではなく、政府には今後も状況を注視しつつ状況の改善に取り組んでいただきたいものです。
制度が細分化されているので、対象者の方は情報を収集してみた方がよさそうです。(執筆者:森 泰隆)