人生の末期にパートナーが、配偶者ではなく同居人の立場でしかなかった場合、いろいろと不都合がでてきます。
例えば、同居人では、パートナーの病状の説明を受けることや医療方針に関われないといった事態が起きるのです。
病院では、事実上ではなく、法的に親族でないと「お互いを見守る」ことができないのです。

芸術家の岡本太郎が愛し合った同居人を養子にしていたことについては、当事者である岡本敏子さんの小説「奇跡」で知りました。
その時に大きな疑問だったのが、
でした。
特に、岡本太郎をモデルとしたその小説には、いかに2人が愛し合っていたかが書かれていたので、なおさら疑問となりました。
岡本太郎にとって敏子さんは秘書であり、母であり、愛人でもあり、娘でもあったのでしょう。
実は、俳優の高倉健もパートナーを養子にしていました。
彼の場合には、戸籍上「配偶者となると、翌日には報道で出てしまうのではないか。」(文芸春秋令和元年12月号)という危惧があったように書かれています。
もちろんさまざまな事情を踏まえてのことでしょう。
目次
養子と配偶者の法的な違い
当事者が病気になった時に支援できるという点ではどちらも親族として同じ立場です。
では、その当事者が亡くなった時にはどうでしょう。 ただ、法定相続分が違います。 養子の場合、実子もなく養子1人であれば、全財産 です ただし、配偶者にしても、養子にしても、離婚・離縁する場合には双方の合意が必要となるので、こじれた場合には厄介です。 配偶者であれば、「配偶者の税額軽減」があり、 あるいは 1億6,000万円まで の財産には課税されません。 養子が遺産を相続する場合には、配偶者ではないのでこの特例は使えません。 例えば、配偶者に全財産を相続させるといった内容の遺言書を書いた場合、「きょうだい、おいめい」には遺留分もなく、配偶者が全財産を取得することが可能です。 遺言は後で作り直すことが可能です。 しかも、遺言者1人の意思で書き換えられるのです。 現実に、筆者は書き換えられた経験があります。 それに比べ、養子縁組・婚姻後に離縁・離婚することは双方の合意が必要になるためハードルがかなり高くなります。 こうした現実を踏まえたうえで、双方の思いが1番大切なのは言うまでもありません。(執筆者:橋本 玄也)
配偶者も養子も法定相続人という立場は同じです。相続税上の取り扱い
遺言を作成して遺産をもらった場合
実務上の注意点