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年末調整
年末調整の書類を提出すると、額の大小こそあれ収入があると思い、ちょっぴりうれしくなります。
でも実は、年末調整をしさえすれば必ずお金が戻ってくるわけではありません。
反対に年末調整をした結果支払いが発生することもあります。
改めて年末調整とはどんな仕組みなのかを知っておきましょう。
年末調整で追徴課税された人を目撃

筆者も会社勤めをしていた時には会社から年末調整をしてもらっていました。
年末調整の書類を提出し、年の瀬も押し迫っていたある日、職場の経理担当者と年かさの男性先輩社員Aさんと会話をしていて衝撃が走りました。
Aさん 「おっ、いよいよだね。うちの会社は給料と別で振り込まれるからボーナス気分だよな」
経理担当者 「残念なお知らせがあります。Aさんは年末調整の結果追徴です。支払いになりました」
Aさん 「はああ!? 年末調整って返ってくるもんじゃないの~ぉ?」
本人のみならず私もとても驚きました。
当時は年末調整をしさえすればお金が払われるとしか思っていなかったのです。
そもそも年末調整とは何なのか
年末調整とは毎月支払っていた税金に過不足がないかを確認し、調整する仕組みのことです。
ここでいう税金とは源泉所得税のこと。
源泉所得税は本来1年間の所得合計金額から算出されます。
ただ、サラリーマンの場合毎月のお給料はおおよそ決まってきますよね。
源泉所得税はそのおおよその給与をもとに計算されています。
そして12月の給与が確定した後に差額を還付したり、逆に足りない分を追加で徴収したりします。
ただ、基本的には少し多めに納めるように計算されているもの。
この多めに納めていた分が戻ってくるのが年末調整の還付金です。
では年末調整で還付金が戻ってこないのはどんな場合でしょうか。
年末調整で追加徴税となる事例
経理担当者 「Aさんの場合、冬のボーナスが大きかったんです。あと今年奥様とお子さんが働き始めて扶養から抜けましたよね」
源泉所得税の額は給与額のほかに所得控除額で決まります。
控除とは金額から差し引くという意味です。
平たく言うと
ということです。
控除にはいろいろな種類があります。
収入の少ない配偶者や子どもがいたり、保険に加入して保険金を払ったりしても控除が受けられます。
また私が以前勤務していた会社ではボーナスの額が社長次第というところがありました。
先輩社員Aさんは幸か不幸か冬のボーナスの金額が例年より高かったようです。
つまり、
・ 控除額がこれまでよりぐっと減った
この2つから、Aさんは源泉所得税を追加で納める必要が出てしまいました。
年末調整還付金は「絶対もらえるお金」ではない
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年末調整は仕組み上還付されることが多いですが、この事例のように追加で税金を払わなければならないこともあります。
ただ、少なくとも年末調整の書類を書く時期になれば、その年の所得や控除の状況がおおよそわかるはず。
年末調整の仕組みを知っていれば「もしかすると今年は戻ってこないかも」「所得税を追加で払わないといけないかもしれない」と予想を付けることは難しくありません。
いきなり追徴と言われるより、心とお金の準備をしておいた方が良いと思うのは筆者だけではないはずです。
逆に何の心当たりもないのに追徴となった場合は計算間違いということもあり得ます。
どちらにせよ、年末調整について知っておけば心強いです。(執筆者:金子 ゆかり)