大学や専門学校など高等教育機関への進学時には大きなお金が掛かります。
そんな時に頼りになるのが奨学金です。
筆者自身もですが、夫や友人も奨学金を借りて大学進学を果たしています。
それぞれ大学卒業から十年以上が過ぎて「奨学金の返済が大変」という声が聞こえてくるようになりました。
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奨学金の返済が負担になる理由
30代になった頃から「月々の支払金額は多くないものの、総額が大きいうえに返済期間が長くて、奨学金の返済が負担」という声が友人内からチラホラ聞こえるようになりました。
あくまで筆者の聞く範囲ではありますが、奨学金の返済が負担になっている人には以下のような共通点があるようです。
・ 「使わなければ貯めておけばいい」と必要な費用以上の金額で奨学金を借りていた
要するに、いずれ奨学金を返さなければならないという意識が薄いと後に返済を負担に感じるという傾向があるように見受けられるのです。
なかには家計から学資を捻出することが可能でも奨学金を利用した方がいいという考え方をする人もいます。
奨学金は使わないなら使わないで貯めておいて返済に充てればいいということのようです。
ですが筆者は周囲の状況を見るに安易な奨学金の利用はあまりおすすめできないと考えています。
子ども自身にも「貸与型奨学金=借金」と教え、一緒に考えるべき
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大学や専門学校に進学する際に利用する奨学金として最もメジャーなのは日本学生支援機構(JASSO)の奨学金かと思います。
前身の日本育英会という呼び名で覚えている方も多いのではないでしょうか。
JASSOの奨学金は近年給付型奨学金も始まりましたが、多くが「貸与型」です。
「貸与型」のなかでも利子が発生しない第一種と返済開始時に利子が発生する第二種があります。
奨学金ではJASSOが最もメジャーと書きましたが、奨学金はJASSOしかないというわけではありません。
地方自治体や大学、団体が行う奨学金もあります。
これらの奨学金も貸与型、給付型の両方があります。
なかには「卒業後、地元に就職すると返済不要」、「指定の専門職に就くと返済不要」などという条件がつく特殊な奨学金があります。
いずれにせよ奨学金は教育ローンと違い、借主はあくまで学生、つまり子どもです。
返済義務は卒業後の子どもにあります。
子ども本人が「学ぶためにいくらお金が必要なのか」と主体的に考えなければなりません。
子どもが主体的に考えるためには、親の方にもあらかじめ準備が必要です。
・ 子どもの進路や成績で選べる奨学金の種類が変わること
・ 奨学金によっての返済額の違い
などを把握しておくことが重要でしょう。
子どもと大きなお金の話をすることを避ける人もいますが、あくまで借りるのは子どもです。
子どもが自分なりに正しい選択をするためには親が積極的にお金の話をする必要があるはずです。
「貸与型奨学金は返すもの」という意識を親子ともにもって選ぶ
筆者は自治体が行っている無利子奨学金を借りました。
貸与額は多くはなかったので学生時代にはバイトにも明け暮れましたが、奨学金自体は30歳で完済できました。
ただ、筆者は家庭環境などから偶然その奨学金を借りることができたというだけです。
大学進学にあたって親と金銭面での深い話し合いは持ったことがありませんでした。
奨学金は返さなければならないという意識を借りる前から持てたら、
「その奨学金を借りるための条件を満たすためにはどうすればいいか」
と考えた上で選び取ることができます。
進学を控えたこの時期、1度お子さんと話し合ってみてはいかがでしょうか。(執筆者:金子 ゆかり)